ボラ予報の計算方法と検証状況
チャート・日別ページ・Xに出している「ボラ予報」の数値の作り方と、その確かさの程度をまとめたページです。
状態
- 探索的な集計です。表示している数値は、2017-03-09〜2026-08-27のデータで探したうえで、同じデータに当てはめた集計(in-sample)です。検証済みの予測性能ではありません。
- 前向き検証は、定義と較正値を固定した2026-09-16より後の日だけを別に数えています(基準日 2026-09-25)。IV方向: まだ0日(10営業日先の値がそろった日がありません)。P/C建玉比: まだ0日(10営業日先の値がそろった日がありません)。到達確率: まだ0日(10営業日先の値がそろった日がありません)。
- 扇の係数(±1σ内に収まった割合)の前向き検証は未実施です。
- 価格変動の予想や投資助言ではありません。この先も同じ傾向になるとは限りません。
1. 何を示し、何を示さないか
示すのは次の3つです。いずれも10営業日先についての過去の割合で、値動きの向き(上がる・下がる)は示しません。手口(取引参加者別の取引高)を使った予測もしていません。
- IV方向。ATM IV(オプションの値段から逆算した予想変動率)が、この1年の中でどのくらいの高さにあるかで区分し、その区分の日に10営業日後のIVがどう変わったか。
- P/C建玉比と実現/IV。期近限月のプットとコールの建玉の比が、この1年の中でどのくらいかで三つに分け、その後10営業日に実際に動いた大きさ(実現ボラ)がIVを上回った割合。建玉からは、買いか売りか、ヘッジ目的かは分かりません。
- 10日レンジと到達確率。当日の終値とIVから引いた上下の線に、10営業日以内の終値が届いた割合。線の幅はIVの区分ごとの係数で補正しています。到達後の成績は持ち続けた場合と変わらず、売買の目安としての優位はありません。
2. データ
- ATM IV: J-Quantsの日経225オプション日次データのBaseVol(期近限月。SQまで4日未満なら次の限月)から作った固定履歴 2016-09-12〜2026-09-10(2,442営業日、欠損なし)。BaseVolが無かった4日(2016-11-10、2018-02-06、2018-02-09、2020-10-01)は、原資産価格に近い行使価格4本のIVの平均で埋めています。以後はJPXの清算値から計算した日次のATM IVをつなぎます(重なる期間の差は0.005未満)。
- P/C建玉比: 同じ期間のJ-Quantsの建玉から作った固定履歴(2,442営業日)。JPXの建玉と2026-08-10〜09-10で完全に一致することを確かめ、以後はJPXの日次建玉をつなぎます。
- 日経平均: 終値(長期系列。2023年以降は日経平均プロフィルの日足を優先)。較正には2026-09-10までの終値だけを使いました。
3. 指標の定義
- IV分位: 当日を含む直近245営業日(最低120日)の中での、当日のIVの順位(同じ値は平均順位)÷件数。5区分の境界は20%・40%・60%・80%で、境界の値は下の区分に入れます。
- IV方向: 10営業日後のIV÷当日のIV−1。区分ごとの中央値と、負になった(IVが下がった)割合。
- P/C建玉比: 期近限月の log((プット建玉+1)÷(コール建玉+1))。1年分位を三つに分け、境界の値は下の区分に入れます。実現/IV は、翌10営業日の終値の対数変化から求めた年率の実現ボラ(245日換算)÷当日のIV。
- 10日レンジ: 終値×(1 ∓ 係数×IV×√(10/245))。係数は区分ごとに、10営業日後の終値の変化を1σ(終値×IV×√(10/245))で割った値の絶対値について、68.3%が収まる点として当てはめたものです。
- 到達: 翌10営業日のいずれかの終値が線以下(下側)・線以上(上側)になった日を数えます。高値・安値は使いません。
4. 固定した集計(探索的・in-sample)
どの値も10営業日先を使うため、隣り合う日の窓が重なっています。独立な標本の目安は日数のおよそ10分の1です。1年分位の助走(最低120営業日)と10営業日先の値が要るため、集計期間は固定履歴より短くなっています。
表は横にスクロールできます。
IV方向(2017-03-09〜2026-08-27、2,313日)
IV分位と10日後のIV変化の順位相関は−0.374でした。年別にみると2017〜2026年のすべての年で負でした。
| IV分位 | 日数 | 独立標本の目安 | 10日後IV変化の中央値 | 下がった割合 | 前向き(日数・中央値・下がった割合) |
|---|---|---|---|---|---|
| 0〜20% | 446 | 約44 | +10.7% | 28.9% | 0日・—・— |
| 20〜40% | 389 | 約38 | +3.5% | 41.4% | 0日・—・— |
| 40〜60% | 459 | 約45 | −2.7% | 56.9% | 0日・—・— |
| 60〜80% | 473 | 約47 | −4.3% | 61.9% | 0日・—・— |
| 80〜100% | 546 | 約54 | −11.1% | 69.8% | 0日・—・— |
P/C建玉比→実現/IV(2017-03-09〜2026-08-27、2,312日)
高の三分位でも、実現ボラがIVを上回ったのは半分に届きません。表示では「IVを超えやすい」とは言わず、実現/IVが高め・低めとだけ言います。高と低の中央値の差は2017〜2026年のすべての年で正でした。
| P/C三分位 | 日数 | 独立標本の目安 | 実現/IVの中央値 | IVを上回った割合 | 前向き(日数・中央値・上回った割合) |
|---|---|---|---|---|---|
| 低 | 729 | 約72 | 0.868 | 31.1% | 0日・—・— |
| 中 | 644 | 約64 | 0.865 | 37.3% | 0日・—・— |
| 高 | 939 | 約93 | 0.959 | 42.5% | 0日・—・— |
扇の係数と到達確率(2017-03-09〜2026-08-27、2,312日)
| IV分位 | 日数 | 独立標本の目安 | 係数なしの±1σ内 | 係数 | 下側に届いた | 上側に届いた | 前向き(日数・下側・上側) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0〜20% | 446 | 約44 | 62.3% | ×1.117 | 23.5% | 22.9% | 0日・—・— |
| 20〜40% | 389 | 約38 | 69.4% | ×0.979 | 23.7% | 26.2% | 0日・—・— |
| 40〜60% | 458 | 約45 | 73.8% | ×0.863 | 19.4% | 30.9% | 0日・—・— |
| 60〜80% | 473 | 約47 | 73.8% | ×0.909 | 22.4% | 26.0% | 0日・—・— |
| 80〜100% | 546 | 約54 | 74.0% | ×0.867 | 22.2% | 29.7% | 0日・—・— |
前向きの列は2026-09-16より後の日だけの集計です。係数は固定値を使って数えています。日数が少ないうちは、固定した集計と比べても違いを判断できません。
5. 探索的な集計であることと限界
- P/C建玉比は、建玉・IVから作った30の特徴と11の先行き指標の組み合わせ(330通り)を調べ、ほかの要因をそろえても残った1件です。多くの候補から選んだ結果なので、偶然が混じる余地があります。
- 扇の係数は、同じデータで±1σ内の割合が68.3%になるように当てはめたものです。到達確率も同じデータで数えた値です。
- 設計時の探索記録(docs/SPEC-VOL-FORECAST.md §2)の値(上位20%の中央値−12.6%・低下70%など)は、このページの値と少し違います。探索ではJ-Quantsの行使価格別IVから原資産価格に近いプット・コール各2本の平均でATM IVを作り、ここではBaseVolから作った固定履歴を使っているためです(平均の差は約0.2ポイント)。探索時の定義で計算し直すと、探索記録の値がそのまま再現します。表示と較正には固定履歴の値を使っています。
- 分位はこの1年の中での順位です。投資家の人数や合意、取引の目的は測っていません。
6. 表示の更新と欠損
IVと建玉がそろった日だけ表示し、古い値を当日の値として出しません。建玉は20時ごろの公表のため、18時台のチャートでは前営業日の値を使い、その日付を表示します。
7. 再現方法
固定値はリポジトリの config.yaml(vol_forecast)にあり、scripts/vol_forecast_calibration.py --check が固定履歴から計算し直して照合します。係数1件(IV分位40〜60%、固定0.863・再計算0.859)と到達2件(20〜40%の上側、40〜60%の上側)は0.004以内の差があり、ほかは小数3桁まで一致します。前向きの集計は nk225_teguchi.vol_edge_monitor.build_forward_report が月初に行い、このページもビルドのたびに同じ関数で数えます。
8. 版と変更履歴
版は較正値や集計の定義を変えた時だけ進めます。現在の版はVF-1(定義と較正値を2026-09-16に固定)です。
- 初版を表示。較正値 VF-1 を固定(固定履歴 2016-09-12〜2026-09-10)(022057f)
- X投稿文(手口先行版)を平易な文へ組み直す(a17c5cd)
- このページを公開。表示の期間を実際の集計期間へ直し、「IVを超えやすい」「投資家の多くは…と予想」などの言い過ぎを改める。前向き検証の集計を加える。較正値は変えていない
9. 免責
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