何度も試して選んだ投資戦略のシャープレシオを、どう割り引くか
The Deflated Sharpe Ratio: Correcting for Selection Bias, Backtest Overfitting and Non-Normality
David H. Bailey、Marcos López de Prado(2014)『Journal of Portfolio Management』
ひとことで言うと
多数の候補から最高成績だけを選ぶことで膨らんだシャープレシオを、試行回数や収益分布のゆがみまで考慮して補正する統計量を提案します。
図で読む:この研究は何を比べたか
最良のバックテストを、試行錯誤の回数で補正する
補正前
選ばれた最高シャープレシオ
試行数・収益分布を反映
補正後
偶然を上回る証拠か再判定
利益への距離
- 観測された差
-
対象外
利益を発見する研究ではなく検定法。
- 取引費用
-
対象外
取引費用を扱う手法ではない。
- 再現性
-
未確認
独立した適用検証は未評価。
- 日本市場
-
未確認
日本データでの適用結果は未評価。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
多数の条件や戦略を試せば、実力がなくても一つくらい好成績に見えます。通常のシャープレシオは試行回数や収益分布のゆがみを無視するため、最高結果だけを採用したバックテストの信頼性を過大評価します。どこまで割り引けばよいかを問います。
どうやって調べたのか
確率的シャープレシオを拡張し、複数試行の中で偶然得られる最大シャープレシオを合格基準に組み込みます。標本の長さ、収益の歪度と尖度、試したシャープレシオのばらつき、独立した試行数を使い、観測成績が偶然の結果を上回る確率を補正します。
何が分かったのか
デフレート・シャープレシオは、多数の候補から最良だけを選ぶ選択バイアスと、正規分布から外れた収益による成績の膨張を補正します。これにより、見つけたシャープレシオが正当な証拠か、試行錯誤で生じた統計的な偶然かを判別しやすくします。
この結果をどう読めばよいか
補正後の値が高くても、将来の利益を保証する検定ではありません。入力する試行数が実際より少なければ過学習を十分に罰せず、似た戦略同士は完全には独立でもありません。この方法の目的は戦略を改善することではなく、報告されたバックテストを厳しく評価することです。
- 対象市場
- グローバル
- 標本期間
- 1990
〜2013 - 対象銘柄群
- 投資戦略バックテスト
- 観測頻度
- simulation
- 再現性
- 未評価独立した標本外再現を本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価日本市場を直接検証していないため、日本株への適用可能性は未評価。
観測結果
デフレート・シャープレシオ
デフレート・シャープレシオ。
効果量未掲載(not_reported)
一次資料で主要結論は確認したが、定義を統一できる効果量は本レコードでは採録していない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社・公式論文ページhttps://doi.org/10.3905/jpm.2014.40.5.094