なぜ投資家は利益を早く確定し、損失を抱え続けるのか
What Drives the Disposition Effect? An Analysis of a Long-Standing Preference-Based Explanation
Nicholas Barberis、Wei Xiong(2009)『The Journal of Finance』
ひとことで言うと
なぜ投資家は利益を早く確定し、損失を抱え続けるのか。年次損益に効用を置くモデルは処分効果を安定して予測しない一方、実現損益に効用を置くモデルはより一貫して予測した。
図で読む:この研究は何を比べたか
二つの心理モデルで、処分効果が現れるか比べる
年次の含み損益
処分効果は安定しない
損益を評価する時点
売却時の実現損益
処分効果がより一貫
損失回避だけでは説明できない
利益への距離
- 観測された差
-
支持されない
実データではなくモデル挙動の比較。
- 取引費用
-
対象外
利益戦略の検証ではない。
- 再現性
-
未確認
独立追試は未評価。
- 日本市場
-
未確認
日本の投資家は未検証。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
投資家が利益銘柄を早く売り、損失銘柄を持ち続ける「処分効果」は、損失を強く嫌う心理で説明されてきました。しかし、その心理を年末など一定時点の資産評価に置くか、売却して損益が確定した瞬間に置くかで予測が変わります。どちらのモデルが観察事実に合うかを問います。
どうやって調べたのか
実際の取引データを推定する研究ではなく、プロスペクト理論を組み込んだ二つの理論モデルを計算機上で比較します。一つは保有資産の年次損益から満足度を得る設定、もう一つは売却して実現した損益から満足度を得る設定です。期待リターンや取引頻度などの条件を変え、処分効果が安定して現れるかを調べます。
何が分かったのか
年次の保有損益を評価するモデルは、広い条件で処分効果を再現できず、場合によっては逆の売買傾向を予測しました。これに対し、利益や損失を売却時に認識するモデルは、利益を早く確定して損失を先送りする行動をより一貫して生みました。従来の「損失回避だけで説明できる」という見方へ条件を付けた結果です。
この結果をどう読めばよいか
この論文は、現実の投資家が必ず「実現した損益から効用を得る」と実証したものではありません。観察された処分効果を再現できる理論条件を比較した研究です。また、損失銘柄を持ち続けることが合理的、有利、または将来の反発を予測するという意味もありません。
- 対象市場
- グローバル
- 標本期間
- 2009
〜2009 - 対象銘柄群
- プロスペクト理論を組み込んだ理論市場
- 観測頻度
- not_applicable
- 再現性
- 未評価独立した追試関係は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価日本市場での成立は本レコードでは評価していない。
観測結果
主要な観測結果
年次損益に効用を置くモデルは処分効果を安定して予測しない一方、実現損益に効用を置くモデルはより一貫して予測した。。
効果量未掲載(not_reported)
効果量は一次資料の表定義まで再確認していないため未収録。方向と概略のみを掲載する。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 一次資料ページhttps://doi.org/10.1111/j.1540-6261.2009.01448.x