配当利回りの高低で株式の期待リターンに差があるかを検証した古典研究
The Effects of Dividend Yield and Dividend Policy on Common Stock Prices and Returns
Fischer Black、Myron Scholes(1974)『Journal of Financial Economics』
ひとことで言うと
配当利回りが高い株と低い株とで、期待リターンに差があるとは実証できなかったと報告した1974年の古典的研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
配当利回りの高い株と低い株、期待リターンに差はあるか
高利回り株
低利回り株との期待リターン差を実証できず
配当利回りの水準
低利回り株
高利回り株との期待リターン差を実証できず
有意な差を検出できなかった
利益への距離
- 観測された差
-
支持されない
高利回り株と低利回り株の期待リターンの差は、当時の実証手法では検出されなかった。
- 取引費用
-
一部のみ
税引き後リターンへの言及はあるが、取引コストを控除した実現可能な利益は測っていない。
- 再現性
-
未確認
独立標本での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
未確認
標本は米国株であり、日本市場は検証されていない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
配当利回りの高い米国株式と低い米国株式とで、税引き前および税引き後の期待リターンに違いがあるかどうかを、当時のデータで検証できるかを問います。課税投資家が低利回り株を選び、非課税投資家が高利回り株を選ぶことに、リターン面での根拠があるかも論点です。
どうやって調べたのか
著者らは当時利用可能な最良の実証手法を用いて、配当利回りの水準と株式リターンの関係を検証しました。配当政策が株価に与える効果を直接検証するのではなく、配当利回りとリターンの関係を検証するほうが適切な検証方法だと位置づけ、その関係の有無を調べています。
何が分かったのか
高利回り株と低利回り株の期待リターンの差を、税引き前でも税引き後でも実証的に示すことができませんでした。低利回り株に集中する課税対象投資家も、高利回り株に集中する非課税投資家も、自分の選択によって期待リターンが増えているか減っているかをデータから判別できないと報告しています。
この結果をどう読めばよいか
配当利回りとリターンの関係を判別できないことから、著者らは配当政策の変更が株価に与える効果も判別できないと論じています。ただしこれは両者に関係が「ない」ことの積極的な証明ではなく、当時の実証手法では有意な関係を検出できなかったという結果です。標本期間や具体的なデータの詳細は原典抄録に明示がなく、本レコードでは確認できていません。日本市場のデータは用いられておらず、直接の一般化はできません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 未確認(確認したStanford GSB公式抄録に標本期間の境界の記載がないため未確認)
- 対象銘柄群
- 米国の普通株式(配当利回りの水準で区分した銘柄群)
- 観測頻度
- 抄録に観測頻度の明示なし
- 再現性
- 未評価本レコードでは独立追試の成否を評価していない。配当利回りとリターンの関係は後続研究(例: Litzenberger and Ramaswamy 1979)で再検証されているが、その結果はこのレコードには反映していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価米国株式の標本を用いた研究であり、日本市場のデータでの検証は確認できていない。
観測結果
高利回り株と低利回り株の期待リターン差
税引き前・税引き後のいずれにおいても、高利回り株と低利回り株の期待リターンに差があることを、当時利用可能な最良の実証手法で示すことができなかった。
効果量未掲載(not_reported)
Stanford GSB抄録の結論を要約した。効果量・有意性検定の具体的数値は抄録に記載がない。
投資家の税区分別の含意
低利回り株に集中する課税対象投資家も、高利回り株に集中する非課税投資家も、その選択で期待リターンが増減しているかをデータから判別できないと論じた。
効果量未掲載(not_reported)
抄録に記載の論旨であり、追加の数値結果ではない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI、Elsevierは抄録を403で拒否)https://doi.org/10.1016/0304-405X(74)90006-3
- Stanford GSB 著者所属機関の公式出版物ページhttps://www.gsb.stanford.edu/faculty-research/publications/effects-dividend-yield-dividend-policy-common-stock-prices-returns