指数オプションのリターンを理解する
Understanding Index Option Returns
Mark Broadie、Mikhail Chernov、Michael Johannes(2009)『The Review of Financial Studies』
ひとことで言うと
オプション売りの高い過去平均が、極端な損益分布を考慮しても統計的な異常なのかを検証した研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
高い平均収益でも、尾部損失の少ない標本では異常と限らない
- 過去平均を観測OTMプット売りは大きな平均リターンを示す
- 非線形分布を再現価格モデルから有限標本の統計量を生成
- 標本不確実性を比較まれな大幅損失で統計量が大きく振れる
- 異常とは判定されず高い平均だけではモデルとの差を確定できない
利益への距離
- 観測された差
-
一部のみ
高い過去平均は観測されたが、モデル対比で統計的異常とは判定されなかった。
- 取引費用
-
未確認
証拠金、追証、強制決済を含む費用後成績は未検証。
- 再現性
-
未確認
独立市場での同一検証は未評価。
- 日本市場
-
未確認
日経225オプションは標本に含まれない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
OTMプット売りは平均リターン、CAPMアルファ、シャープレシオが高いと報告されてきました。しかし、まれな大幅損失を含む非線形なリターンに通常の基準を当てたため、高く見えている可能性があります。価格モデルが作る分布と比べても異常なのかを問います。
どうやって調べたのか
1987年8月から2005年6月まで215か月のS&P 500先物オプションを集め、主に満期まで保有する月次プット・ポートフォリオを評価します。過去統計をBlack–ScholesモデルやHeston型確率的ボラティリティモデルから生成した有限標本の統計と比較し、ストラドルとデルタヘッジ・リターンも分析します。
何が分かったのか
OTMプット売りの大きな過去平均リターンは、極端な標本不確実性を考慮すると、Black–ScholesモデルまたはHestonモデルに対して統計的な異常とは判定されませんでした。市場中立に近いポートフォリオでは標本問題が軽減され、リターンはジャンプ・リスクプレミアムと推定リスクで説明可能でした。
この結果をどう読めばよいか
高い標本平均だけから再現可能な優位性を確定できないことを示します。これは損失が起きないという意味でも、売り戦略に収益がないという意味でもありません。米国の月次ポートフォリオ研究であり、SQ前日の1日売り、証拠金、追証、強制決済、取引費用、日経225オプションは直接検証していません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 1987-08〜2005-06
- 対象銘柄群
- S&P 500先物オプションの満期まで保有する月次ポートフォリオ
- 観測頻度
- monthly
- 再現性
- 未評価異なる市場と期間による同一評価設計の独立追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価S&P 500先物オプションの標本であり、日経225オプションでの成立は評価していない。
観測結果
OTMプット売りの統計的評価
OTMプット売りの大きな過去平均リターンは、オプション価格モデルから生成した分布と比べると統計的に異常とは判定されなかった。。
効果量未掲載(not_reported)
非線形ペイオフによる極端な標本不確実性が中心であり、単一の代表効果量は原典の結論を適切に表さないため未収録。
市場中立ポートフォリオの説明
ストラドルやデルタヘッジ・リターンでは標本問題が軽減され、それらのリターンはジャンプ・リスクプレミアムと推定リスクで説明可能だった。。
効果量未掲載(risk_adjusted)
モデル比較による方向を収録し、モデル別推定値は本レコードへ転記していない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.1093/rfs/hhp032
- 著者公開版https://www.columbia.edu/~mnb2/broadie/Assets/EOR_20080618.pdf
- SSRN書誌ページhttps://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1519274