分散リターンの限界
The Limitations of Diversification Return
Donald R. Chambers、John S. Zdanowicz(2014)『The Journal of Portfolio Management』
ひとことで言うと
分散リターンを期待値への上乗せとみなす見方を問い直し、再均衡の効果を平均回帰と切り分ける理論研究。
図で読む:この研究は何を比べたか
分散と再均衡の効果を切り分ける
- 複利リターンを比べるポートフォリオと構成資産の幾何平均リターンの差を定義する。
- 分散の効果を分ける分散や分散の低下だけで期待値が高まるかを切り分ける。
- 再均衡を検討する保有比率を戻す売買が平均回帰を利用する条件を調べる。
- 結論を限定する分散リターンだけから追加的な期待収益を導かない。
利益への距離
- 観測された差
-
対象外
収益戦略の優劣ではなく、分散リターンの解釈を理論的に検討する研究である。
- 取引費用
-
未確認
売買費用を差し引いた効果量は原典抄録に示されていない。
- 再現性
-
未確認
分散リターンの解釈について、独立研究での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
未確認
日本市場の標本や日本市場への直接適用は原典抄録から確認できない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
複数資産を組み合わせると、個々の資産を別々に持つ場合より複利リターンが高く見えることがあります。この差を、分散したことによる安全性や値動きの低下が生んだ追加収益と考えてよいのでしょうか。それとも、再均衡が資産価格の平均回帰を利用した結果なのでしょうか。
どうやって調べたのか
分散リターンを、ポートフォリオの幾何平均リターンと構成資産の幾何平均リターンの加重平均との差として定義し、期待値との関係を理論的に検討します。さらに、保有比率を戻す再均衡がどのような条件で資産価格の平均回帰を利用するかを整理し、分散そのものの効果と再均衡の売買の効果を区別します。
何が分かったのか
分散リターンは、期待値を増やす独立した源泉ではないと論じられます。再均衡によって期待値が高まる場合、その源泉は分散や分散の低下ではなく、資産価格が平均へ戻る動きにあると整理されます。したがって、分散リターンの存在だけから、再均衡が追加的な期待収益を生むと結論することには限界があります。
この結果をどう読めばよいか
この研究は、分散そのものと再均衡による売買を分けて考える必要を示す理論的な反論です。平均回帰がなければ、再均衡が期待値を高めるとは限らず、売買費用を考慮すれば結果はさらに変わりえます。抄録から具体的な標本期間や効果量は確認できないため、個別市場での収益性を直接検証した研究とは区別して読む必要があります。
- 対象市場
- その他
- 標本期間
- 未確認(確認した一次資料(著者版PDFの抄録)に実証標本期間の記載がないため未確認)
- 対象銘柄群
- 分散リターンとポートフォリオ再均衡を扱う理論分析。抄録に実証標本の市場・期間の記載はない
- 観測頻度
- not_applicable
- 再現性
- 未評価分散リターンと平均回帰の切り分けに関する独立研究での追試は、本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価理論分析であり、日本市場の標本を用いた検証や日本市場への直接適用は確認していない。
観測結果
分散リターンの定義
分散リターンを、ポートフォリオの幾何平均リターンが構成資産の幾何平均リターンの加重平均を上回る差として整理する。
効果量未掲載(not_reported)
原典抄録に単一の効果量や数値は示されていないため、定義だけを記録する。
期待値への上乗せではない
分散リターンは期待値を増やす源泉ではなく、再均衡による期待値の向上があるなら、その源泉は平均回帰だと論じる。
効果量未掲載(not_reported)
原典抄録に効果量や数値の記載がないため、結論の方向だけを収録した。
分散と再均衡の切り分け
再均衡は平均回帰を利用する有効な方法になりうるが、分散や分散の低下自体が期待値を高めるとはしない。
効果量未掲載(not_reported)
原典抄録は理論上の主張を示すが、個別の効果量は記載していない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.3905/jpm.2014.40.4.065
- 著者版PDFhttps://www.hec.ca/finance/Fichier/Chambers2014.pdf