業界共通の利益情報は企業固有情報より早く価格へ入るか
The timing of industry and firm earnings information in security prices: A re-evaluation
Pieter T. Elgers、Susan L. Porter、Le Emily Xu(2008)『Journal of Accounting and Economics』
ひとことで言うと
業界全体と個別企業の利益情報で価格反映時期が違うという従来結果を、測定誤差と非線形性を考慮して再検討した研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
測定誤差を直す前後で、利益情報の反映差を比べる
従来の推定
情報の反映時期に差が見える
測定誤差・非線形性を調整
調整後
先行反応の差は有意でない
利益への距離
- 観測された差
-
支持されない
従来の予測差は調整後に支持されない。
- 取引費用
-
対象外
取引費用の検証ではない。
- 再現性
-
未確認
独立した追試関係は未評価。
- 日本市場
-
未確認
日本市場は未検証。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
市場は業界共通の利益変化を個別企業の変化より早く予想するのでしょうか。従来観測された差が真の情報処理差ではなく、予想外利益の代理変数の誤差や回帰式の形から生じた可能性を問います。
どうやって調べたのか
1976~2001年の米国企業の年次利益と株価を使い、利益変化を業界共通成分と企業固有成分へ分けます。実現利益変化を予想外利益の代理にする際の測定誤差と、リターン・利益関係の非線形性を統制して従来仕様を再推定します。
何が分かったのか
発表後ドリフトは、実現利益変化の測定誤差が生む係数バイアスで説明でき、非線形性を統制すると翌年の業界成分と企業固有成分に対する市場の先行反応差は有意でなくなると報告します。従来の情報時期差へ再解釈を迫ります。
この結果をどう読めばよいか
差が有意でなくなったことは、市場がすべての利益情報を完全に即時反映する証明ではありません。特定の代理変数と回帰仕様に関する再評価です。測定誤差を直す前の係数を、投資家の反応遅れと直結させない点が重要です。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 1976
〜2001 - 対象銘柄群
- 米国企業の年次利益と株価データ
- 観測頻度
- annual
- 再現性
- 未評価独立した追試関係は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価日本市場での成立は本レコードでは評価していない。
観測結果
主要な観測結果
業種共通情報と企業固有情報の価格反映差を再検討し、従来の発表後ドリフト解釈が測定誤差による係数バイアスで説明できると報告した。。
効果量未掲載(not_reported)
効果量は一次資料の表定義まで再確認していないため未収録。方向と概略のみを掲載する。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 一次資料ページhttps://doi.org/10.1016/j.jacceco.2007.09.002