株式市場でリバランスの便益を測る
Measuring Portfolio Rebalancing Benefits in Equity Markets
Jean-Michel Maeso、Lionel Martellini(2020)『The Journal of Portfolio Management』
ひとことで言うと
S&P 500の構成銘柄で、リバランスと買い持ちの差を因子調整後にも測り、銘柄特性と初期配分の影響を調べた研究。
図で読む:この研究は何を比べたか
リバランス便益は銘柄特性と配分で変わる
リバランス戦略
買い持ちを上回る方向
リバランス便益の測り方
買い持ち
比較の基準となる成績
銘柄特性と初期配分で便益の大きさが変わる
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
S&P 500でリバランスと買い持ちの成績差を確認している。
- 取引費用
-
未確認
取引費用を差し引いた成績かは抄録から確認できない。
- 再現性
-
未確認
独立標本での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
未確認
日本株でのリバランス便益は評価していない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
同じ株式を持つ場合でも、値上がりした銘柄を一部売って比率を戻す方法と、比率のずれをそのまま受け入れる買い持ちでは、複数年の成績が変わります。この差は銘柄の大きさや割安さ、過去の成績、値動きの大きさで変わるのか。リバランスそのものの便益を、株式市場でどう切り分けて測れるのかを問います。
どうやって調べたのか
S&P 500の構成銘柄を対象に、同じ初期配分から始めるリバランス戦略と買い持ちを比較します。保有期間は1年から5年までを調べ、銘柄を大きさ、株価と簿価の関係、過去の成績、値動きの大きさなどで分けます。さらに、四つの代表的な株式要因を使う回帰分析で、銘柄の性質による影響を調整した後にも差が残るかを確認します。
何が分かったのか
因子の影響を調整した後も、5年の保有期間ではリバランス戦略が買い持ちを年率100ベーシスポイント超上回る平均差を示したと報告されています。小型、株価と簿価の関係が低い、過去の成績が低い、値動きが大きい銘柄を選ぶと便益は高く、初期配分も便益の大きさに影響しました。
この結果をどう読めばよいか
この研究が測ったのは、S&P 500の構成銘柄で、保有比率を戻すことと買い持ちの成績差です。結果は銘柄特性や初期配分によって差が変わることを示しており、すべての株式や期間に同じ差が生じることを意味しません。抄録からは株価データの標本期間、再均衡の実施間隔、取引費用控除後の成績、日本株での成立を確認できないため、米国標本の結果として読む必要があります。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 未確認(確認した原典抄録に株価データの標本期間の記載がなく、1年から5年は保有期間であるため標本期間は未確認)
- 対象銘柄群
- S&P 500の構成銘柄。抄録では銘柄数と抽出条件は記載されていない
- 観測頻度
- リバランス戦略と買い持ちを1年から5年の保有期間で比較。再均衡の実施間隔は抄録に記載がない
- 再現性
- 未評価本研究の株式市場での比較結果について、独立標本での再現は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価標本は米国のS&P 500構成銘柄であり、日本株でのリバランス便益は評価していない。
観測結果
因子調整後のリバランス便益
因子の影響を調整した後も、リバランス戦略は買い持ちに対して、5年の保有期間で年率100ベーシスポイントを超える平均上振れを示したと報告している。
効果量100 ベーシスポイント超(年率、5年の保有期間)(risk_adjusted)
抄録は年率100ベーシスポイント超と報告している。100は正確な平均値ではなく、明記された下限の基準値として記録した。
銘柄特性による違い
小型、簿価に対して株価が低い、過去の成績が低い、値動きが大きいという特性を持つ株式を選ぶと、無作為に選んだポートフォリオよりリバランス便益が高かったと報告している。
効果量未掲載(risk_adjusted)
抄録は1年から5年の保有期間で方向を示すが、特性別の便益差の数値は記載していない。
初期配分の影響
ポートフォリオを始める時点での銘柄への配分方法が、リバランス便益の大きさに影響したと報告している。
効果量未掲載(not_reported)
初期配分による差の具体的な数値や範囲は抄録に記載されていないため、方向だけを記録する。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.3905/jpm.2020.1.130
- 出版社の掲載ページhttps://www.pm-research.com/content/iijpormgmt/46/4/94
- 著者所属機関の公開研究ページ(初期題名)https://climateinstitute.edhec.edu/publications/measuring-volatility-pumping-benefits-equity-markets