株価予測の効果は研究公表後にどれほど弱まるか
Does Academic Research Destroy Stock Return Predictability?
R. David McLean、Jeffrey Pontiff(2016)『Journal of Finance』
ひとことで言うと
公表済みの97個の株価予測変数を追跡し、元論文の標本外と論文公表後で予測リターンがどう変わるか比較した研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
研究で見つかった収益差は、公表後に弱くなる
元論文の標本内
発見時の成績
標本外・論文公表
公表後
平均的に成績が縮小
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
平均的な縮小を観測。
- 取引費用
-
未確認
個別戦略の費用後利益ではない。
- 再現性
-
未確認
独立した追試は台帳で未評価。
- 日本市場
-
未確認
日本市場は未評価。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
アノマリーの高いリターンは、たまたま良く見えた変数を選んだデータ探索の結果でしょうか。それとも論文を読んだ投資家が取引し、誤価格を修正するため公表後に弱まるのでしょうか。二つの低下を分離します。
どうやって調べたのか
株式リターンの横断面を予測すると報告された97変数について、元研究の標本期間、論文には未使用の標本外期間、公表後期間のポートフォリオリターンを比較します。予測変数の特性、流動性、固有リスク、公表済み戦略同士の相関変化も調べます。
何が分かったのか
予測ポートフォリオのリターンは標本外で26%、公表後で58%低いと報告されました。両者の差32ポイントを公表情報に基づく取引の推定効果と解釈し、元の標本内リターンが高い変数ほど公表後の低下が大きい傾向も示しました。
この結果をどう読めばよいか
58%低下は全アノマリーが消滅したという意味ではなく、平均的な縮小率です。標本外低下をデータ探索効果の上限、公表後との差を投資家学習とみなす識別には仮定があります。個別戦略の現在の収益性を直接判定する数値ではありません。
- 対象市場
- グローバル
- 標本期間
- 1926
〜2013 - 対象銘柄群
- 公表済み米国株リターン予測変数
- 観測頻度
- monthly
- 再現性
- 未評価独立した標本外再現を本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価日本市場を直接検証していないため、日本株への適用可能性は未評価。
観測結果
公表後のリターン予測力
公表後のリターン予測力。
効果量未掲載(not_reported)
一次資料で主要結論は確認したが、定義を統一できる効果量は本レコードでは採録していない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社・公式論文ページhttps://doi.org/10.1111/jofi.12365