取引コストは決算後の株価ドリフトを説明するか
Implications of Transaction Costs for the Post–Earnings Announcement Drift
Jeffrey Ng、Tjomme O. Rusticus、Rodrigo S. Verdi(2008)『Journal of Accounting Research』
ひとことで言うと
決算情報が株価へ反映される速さと、実際に売買できる収益性を取引コストの違いから分けて調べた研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
大きく見える決算後ドリフトも、費用を引くと縮む
費用控除前
高コスト銘柄ほどドリフト大
売買費用を差し引く
費用控除後
見かけの利益が大幅縮小
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
ドリフトと費用の関係を観測。
- 取引費用
-
一部のみ
費用控除で大幅縮小。
- 再現性
-
未確認
独立再現は未評価。
- 日本市場
-
未確認
現在の日本株では未検証。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
取引しにくい株ほど決算発表時の反応が鈍く、その後の値動きが大きいのでしょうか。また、紙上では大きく見えるPEADの収益が、スプレッドなどを払った後にも残るかを問います。
どうやって調べたのか
1988~2004年の米国企業について、四半期決算の利益サプライズ、発表時リターン、発表後リターンを市場マイクロ構造データと結び付けます。取引コストが異なる企業群を比較し、戦略の総収益とコスト控除後を分けます。
何が分かったのか
取引コストが高い企業ほど決算時の反応が弱く、後続ドリフトが大きいと報告します。しかし、その銘柄群は売買費用も高く、PEAD戦略の見かけの利益はコストを差し引くと大幅に縮みました。この差が裁定を阻む条件です。
この結果をどう読めばよいか
ドリフトが大きい銘柄ほど有利とは限らない点が核心です。価格反応の遅れと裁定の難しさが同時に現れるため、総リターンだけでは実行可能性を判断できません。現在の手数料体系や日本株へ数値を移すこともできません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 1988
〜2004 - 対象銘柄群
- 米国企業の利益発表と市場マイクロ構造データ
- 観測頻度
- quarterly
- 再現性
- 未評価独立した追試関係は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価日本市場での成立は本レコードでは評価していない。
観測結果
主要な観測結果
取引コストが高い企業ほど決算時反応が弱く後続ドリフトが大きい一方、戦略利益はコスト控除で大幅に減ると報告した。。
効果量未掲載(not_reported)
効果量は一次資料の表定義まで再確認していないため未収録。方向と概略のみを掲載する。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 一次資料ページhttps://doi.org/10.1111/j.1475-679X.2008.00290.x