日経225から外れる銘柄を、空売り投資家はどう取引するのか
Trading Activities of Short-Sellers Around Index Deletions: Evidence from the Nikkei 225
Hidetomo Takahashi、Peng Xu(2016)『Journal of Financial Markets』
ひとことで言うと
日経225からの除外が発表された直後に空売りが急増し、指数連動売りによる一時的な値下がりを狙っていた可能性を示した研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
日経225除外を先回りした空売りは、いつ買い戻したか
除外発表直後
空売りが増加
指数連動売りを先回り
実施日付近
買い戻し、その後反発
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
空売りと価格反応を観測.
- 取引費用
-
一部のみ
貸株費用・規制で採算は変わる.
- 再現性
-
未確認
独立再現は未評価.
- 日本市場
-
一部のみ
日経225だが過去制度に限定.
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
指数から外れる銘柄には、指数連動ファンドの売りが実施日に集中すると予想できます。空売り投資家は発表前から企業の悪材料を知って売るのでしょうか。それとも、発表後に予想できる需給悪化を先回りして利益を得るのでしょうか。
どうやって調べたのか
1998年1月から2010年12月の日経225除外108件を手作業で集め、日々の空売り、株価、企業情報を発表日と実施日の前後で比較しました。合併・買収53件と上場廃止8件は、通常の指数除外とは事情が異なるため対象外としています。
何が分かったのか
空売りは除外発表後の5日間に異常に増えました。発表直後に売り、実施日付近で買い戻す動きは約7.5%の異常収益と対応しました。発表期の空売りが強い銘柄ほど実施日後の反発も大きく、発表前に情報を得た売買より、一時的な価格圧力を先回りした行動と整合します。
この結果をどう読めばよいか
空売りが価格下落をすべて作った、と断定する研究ではありません。事前に決まった指数連動売りを利用する「略奪的取引」と整合する関係を示したものです。特定期間の日経225除外に限るため、通常の悪材料や現在の市場制度にも同じ収益が得られるとは言えません。
- 対象市場
- 日本
- 標本期間
- 1998-01
〜2010-12 - 対象銘柄群
- 手作業で収集した日経225除外108件(合併・買収53件と上場廃止8件は分析対象外)
- 観測頻度
- daily
- 再現性
- 未評価独立した標本外再現を本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価日本市場を直接標本として検証した研究である。ただし対象期間・制度・銘柄群に依存するため、日本市場全般への一般化は別途評価が必要。
観測結果
指数除外周辺の空売り
指数除外周辺の空売り。
効果量未掲載(not_reported)
一次資料で主要結論は確認したが、定義を統一できる効果量は本レコードでは採録していない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社・公式論文ページhttps://doi.org/10.1016/j.finmar.2015.05.001
- 出版社の抄録ページhttps://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1386418115000300