同じQQQを複数市場で売買すると、価格の質は良くなるのか
Competition for Order Flow, Market Quality, and Price Discovery in the Nasdaq 100 Index Tracking Stock
Yiuman Tse、Grigori Erenburg(2003)『Journal of Financial Research』
ひとことで言うと
NASDAQ100連動ETFのQQQが複数の取引市場で競って売買されると、売買コストと適正価格への到達がどう変わるかを調べた研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
同じETFでも、取引市場ごとの役割は違う
AMEX
大口取引が多く売買価格差が狭い
QQQの取引市場
電子市場
新情報の価格反映への寄与が最大
市場ごとに役割が異なる
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
市場品質の違いを観測.
- 取引費用
-
未確認
裁定の費用後利益は未検証.
- 再現性
-
未確認
独立再現は未評価.
- 日本市場
-
未確認
米国ETFで日本は未検証.
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
まったく同じQQQが電子市場、AMEX、NYSEなどで同時に取引されると、注文が分散して売買しにくくなるのでしょうか。それとも市場間の競争で売値と買値の差が縮まり、新しい情報をより速く価格へ反映できるのでしょうか。
どうやって調べたのか
QQQについて、電子通信ネットワーク、AMEX、NYSEの取引量、売値と買値の開き、大口取引、価格発見への寄与を比較しました。さらに2001年7月31日にNYSEで取引が始まった前後を比べ、市場が一つ増えた後に取引条件がどう変わったかを調べています。
何が分かったのか
取引量は電子市場が最も多く、次いでAMEX、NYSEでした。大口取引はAMEXが多く、売値と買値の開きも狭い一方、新しい情報を価格へ反映する寄与は電子市場が最大でした。NYSEで取引開始後は開きが縮まり、市場品質と価格発見が改善したと報告されています。
この結果をどう読めばよいか
注文が複数市場に分かれても、必ず市場品質が悪化するとは限らず、競争が改善につながる例です。ただし対象は初期のQQQと当時の米国市場制度です。抄録では正確な標本日や推定方法を確認できないため、現在のETFや日本の取引所へ効果量を移すことはできません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 1999
〜2001 - 対象銘柄群
- Nasdaq 100連動証券QQQ
- 観測頻度
- intraday
- 再現性
- 未評価独立した標本外再現を本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価日本市場を直接検証していないため、日本株への適用可能性は未評価。
観測結果
市場間競争と価格発見
市場間競争と価格発見。
効果量未掲載(not_reported)
一次資料で主要結論は確認したが、定義を統一できる効果量は本レコードでは採録していない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社・公式論文ページhttps://doi.org/10.1111/1475-6803.00060
- 出版社の抄録ページhttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1475-6803.00060