日経レバETF(1570)の理論値と実績値 — 3年データでの検証記録
「レバレッジ型ETFは減価するため長期保有に向かない」という説明をよく見かけます。 本記事は、当サイト運営者がX(旧Twitter)のArticleとして公開した一次検証 (日経レバETF〈1570〉の実績リターンを「日経平均×2倍」の理論値と過去データで 比較したもの)を、サイト向けに再構成した記録です。数値はすべて原典の検証結果 からの引用で、出典と基準日は末尾の出典一覧にまとめています。
検証の要旨
日経平均株価に日次2倍で連動することを目指す日経レバETF(1570)について、 日経平均の期間リターンを単純に2倍した「理論値」と、1570の実際の 期間リターンを比較しました。約3年の検証期間全体の結果は次のとおりです。
| 区分 | 期間リターン |
|---|---|
| 日経平均株価 | +78.8% |
| 理論値(日経平均×2) | +157.7% |
| 1570(実績) | +191.6% |
| 実績 − 理論値 | +33.9ポイント |
検証期間: 2022年12月〜2025年12月(日経平均 28,052円 → 50,168円)。 原典検証(2026-02-03公開)の数値を引用。データ出典: 日経225=Stooq(^NKX)、1570=野村アセットマネジメント公式CSV(出典一覧参照)。
この期間では、実績が理論値を33.9ポイント上回りました。期間リターンの 倍率は 191.6% ÷ 78.8% ≒ 2.43倍で、日次2倍の商品でありながら期間では 2倍を超えています。一方、後述のとおり、同じ検証の中でも横ばい局面だけを 切り出すと実績は理論値を下回っており、乖離の向きは相場の推移によって 変わります。
日次リセットの仕組み
1570が連動を目指す日経平均レバレッジ・インデックスは、「前日比×2倍」の 日次リターンに連動する指数です。この型(日次リセット型)のETFは毎日、 その日の資産残高に対して2倍のエクスポージャーを作り直します。
- 上がった日は、増えた資産を基準にポジションを積み増す
- 下がった日は、減った資産を基準にポジションを縮める
この日次リバランスの結果、2日以上の期間では複利効果が働き、期間リターンは 「指数の期間リターン×2倍」と一致しません。一方向に動きが続けば複利で 理論値を上回り、上下に往復すれば「高値で積み増し、安値で縮小」の繰り返しに なって理論値を下回ります。
ボラティリティ・ドラッグ
日次リセット型が往復相場で被る減価は、ボラティリティ・ドラッグと 呼ばれます。指数が +10% → -10% と動いて元の水準近くへ戻る場合を 例にすると、次のようになります。
| 区分 | 1日目 | 2日目 | 2日間の累計 |
|---|---|---|---|
| 指数(1倍) | +10% | -10% | -1.0% |
| 日次2倍連動 | +20% | -20% | -4.0% |
起点を100とした机上の計算例(指数: 100 → 110 → 99、 日次2倍連動: 100 → 120 → 96)。
指数がほぼ元の水準へ戻っても、日次2倍連動はより大きく減価します。 この差は日々の振れ幅が大きいほど、また期間が長いほど積み上がり、 方向感のない往復相場で顕著になります。原典の検証でも、日経平均が ほぼ横ばいだった約6か月間を切り出すと、実績は理論値をおよそ 6ポイント下回っていました。
| 区分 | 期間リターン |
|---|---|
| 日経平均株価 | +0.7% |
| 理論値(日経平均×2) | +1.3% |
| 1570(実績) | -4.4% |
| 実績 − 理論値 | -5.8ポイント |
横ばい局面の検証期間: 2024年7月〜2024年12月(約6か月)。 原典検証の数値を引用(出典一覧参照)。
上昇局面の複利効果
逆に一方向の上昇が続く局面では、増えた資産を基準にポジションを積み増す 動きが複利で効き、期間リターンが理論値を上回ります。実質的なリターン 倍率が価格推移によって変わるこの現象を、原典では「デルタドリフト」と 呼んでいます。
検証期間の約3年間は年間ベースで上昇が続いた局面であり、この複利効果が 有利に働いた結果、期間リターンの倍率は約2.43倍と日次倍率の2倍を 上回りました。下落が続く局面では同じ仕組みが逆向きに働き、理論値以上に 減価します。
リターン倍率の計算: 191.6%(1570実績)÷ 78.8%(日経平均)≒ 2.43。 原典検証の数値を引用(出典一覧参照)。
相場局面別の整理
検証結果と仕組みを局面別に整理すると次のようになります。
| 局面 | 理論値(×2)との関係 |
|---|---|
| 上昇が続く局面 | 複利効果が有利に働き、実績が理論値を上回りうる(検証では約3年間で +33.9ポイント) |
| 横ばい・往復局面 | ボラティリティ・ドラッグにより実績が理論値を下回る(検証では約6か月で -5.8ポイント) |
| 下落が続く局面 | 複利効果が逆向きに働き、理論値以上に減価しうる(今回の検証期間には該当局面が無く未検証) |
「日次リセット型は減価する」という説明は、横ばい・往復局面については 過去データと整合する一方、上昇が続いた局面では実績が理論値を上回って おり、期間や局面を特定しない一般化はできません。どの局面が続くかを 事前に知る方法はなく、本記事もそれを予測するものではありません。
本記事は過去データの集計と商品構造の一般的な解説であり、将来の値動きの 予測や特定商品の売買推奨・投資助言ではありません。
1570の基本情報
検証対象の1570の基本情報は次のとおりです。レバレッジ型・インバース型の 他銘柄との比較は一覧ページで確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 |
| 運用会社 | 野村アセットマネジメント |
| 連動指数 | 日経平均レバレッジ・インデックス |
| 倍率 | 2倍(日次) |
| 構造区分 | 日次リセット型 |
| 信託報酬 | 0.8%以内(税抜) |
| NISA | つみたて投資枠・成長投資枠とも対象外 |
2026-08-04時点の情報。出典: JPX レバレッジ型・インバース型ETF等の 銘柄一覧(出典一覧参照)。
出典一覧
- 日経レバETF(1570)の「理論 vs 実際」を検証してみた(X Article) — 当サイト運営者による一次検証(2026-02-03公開)。本記事の検証数値の原典。
- Stooq ^NKX(日経平均株価の日足データ) — 原典検証で日経平均株価の取得に使用。
- 野村アセットマネジメント NEXT FUNDS 1570(基準価額CSV) — 原典検証で1570の価格データの取得に使用。
- JPX レバレッジ型・インバース型ETF等の銘柄一覧 — 1570の倍率・信託報酬・NISA可否の出典(2026-08-04時点)。