結論

固定比率戦略そのものの損益形状を比較したのは、PeroldとSharpeの理論研究1本です。往復相場でよく機能する一方、下値保護と上方余地は買い持ちより小さいと整理しています。Hsiehほかの米国データによる実証はレバレッジ型ETFが対象で、固定比率戦略の実証ではありません。

PeroldとSharpe(1988)は、株式などのリスク資産と安全資産を組み合わせる理論比較で、下落時に買い、上昇時に売る固定比率戦略の損益形状を示しました。方向感のない不安定な相場で最もよく機能する一方、買い持ちより下値保護と上方余地が小さいと報告しています。実証標本の期間や効果量は確認できません。

ChambersとZdanowicz(2014)は、分散リターンの理論分析で、リバランス(再均衡)が期待値を高めるなら、その源泉は平均回帰だと論じました。大きく動くことと、動いた後に戻ることは同じ条件ではありません。平均回帰や自己相関を無視した、変動幅だけの説明では足りません。

Hsiehほか(2025)は、米国の主要ETF二つの約20年データを使い、レバレッジ型ETFの複利効果が自己相関や相場状態の持続性に依存すると報告しています。トレンド相場で利得が拡大し、平均回帰的な相場で劣後するという結果ですが、これは固定比率戦略そのものの実証ではありません。

仕組みの違いを見ると、日経レバETFのようなレバレッジ型ETFの日次の倍率維持は、上昇後に買い増し、下落後に売る規則で、固定比率戦略の売買とは逆向きなので、トレンド相場で前者の利得が拡大し、後者が買い持ちに劣後するという結果は矛盾しません。

相場環境別の得失を説明できても、これから続く環境を事前に判定できることまでは意味しません。

参照した研究

限界

日本の相場を事前に分類し、1570と1321の固定比率戦略と買い持ちを比較した検証はありません。米国データの約20年の開始・終了年も未確認で、費用・税控除後の国内成績は示されていません。