結論

一括投資と積立投資の評価は基準によって分かれます。期待効用の理論では定額分割投資は最適な動的戦略にならない一方、5年想定の理論計算では積立投資のほうが投資期間中の損失経験を小さくする結果が報告されています。

Constantinides(1979)は、期待効用最大化の動的計画による理論研究で、毎回一定額を投資する方針は、期待効用を最大化する動的な投資戦略として最適にはならないという結論の方向を示しています。実証標本はなく、効果量の数値も台帳には収録されていません。また、台帳では著者自身の証明手法や前提の詳細は未確認です。

Trainor(2005)は、first-passage time probabilityに基づく5年間の理論モデルで、一括投資とドルコスト平均法を比較しました。期間中に一度でも損失状態を経験する確率は一括投資で90%超、DCAで50%未満となり、条件付き期待ショートフォールはDCAで65%縮小、損失状態が続く期待期間は一括投資1.5年に対してDCA4カ月と報告しています。

したがって、この台帳に収録された研究だけでも、期待効用を基準にするか、投資期間中の損失経験の確率・深さ・期間を基準にするかで結論の方向は異なります。

参照した研究

限界

いずれも日本市場を直接検証した研究ではありません。Trainorの結果は実際の市場データによる実証ではなく理論モデルの計算で、取引費用も考慮されていません。