週次オプションが示す短期市場リスク
Short-Term Market Risks Implied by Weekly Options
Torben G. Andersen、Nicola Fusari、Viktor Todorov(2017)『The Journal of Finance 72(3), 1335–1386』
ひとことで言うと
満期の短いオプションにも、通常のボラティリティ指標だけでは捉えられない負のジャンプ尾部が織り込まれていました。
図で読む:この研究は何を比べたか
短期オプション価格から急落尾部を分離して推定
- 満期2〜9日の価格S&P 500の週次を含む期近オプションを観測する。
- ATM付近目先のスポット・ボラティリティを識別する。
- 深いOTMジャンプの強度と負の尾部形状を識別する。
- 尾部変化ボラティリティだけでは説明できない短期急落懸念を捉える。
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
短期オプション価格に含まれる負のジャンプ尾部を推定している。
- 取引費用
-
未確認
売買戦略と取引費用を評価していない。
- 再現性
-
未確認
独立追試を本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
未確認
日経225オプションは検証していない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
満期まで数日しかない週次オプションの価格から、目先の連続的な変動と急落ジャンプを分けて読み取れるかを問います。さらに、短期オプションが示す負の尾部形状を通常のボラティリティ指標や標準的な価格モデルだけで説明できるかを検証します。
どうやって調べたのか
2011年1月から2014年12月までのS&P 500指数オプションの日次終値を使い、満期まで2〜9日の期近オプションからリスク中立分布を半ノンパラメトリックに推定しました。ATM付近からスポット・ボラティリティを、深いOTMからジャンプ強度と分布を識別し、通常満期のオプション価格とも比較しました。
何が分かったのか
負のジャンプ尾部の形状には市場ボラティリティで包含されない変動があり、その変化が大きい局面は標準的なパラメトリックモデルによる長期オプションの大幅な価格誤差と重なりました。短期ATMオプションはスポット・ボラティリティを、深いOTMオプションはジャンプ強度と分布を識別する情報を持つと報告されました。
この結果をどう読めばよいか
論文が推定するのは市場価格に織り込まれたリスク中立分布であり、短期オプションを売った場合の勝率や実現期待収益ではありません。取引費用、証拠金、追証、強制決済も分析対象外で、米国SPXの結果を日経225へ直接適用できません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 2011-01-03〜2014-12-31
- 対象銘柄群
- CBOEのS&P 500指数オプション。満期まで2〜9日の期近週次オプションと比較用の通常満期オプション。
- 観測頻度
- daily
- 再現性
- 未評価独立市場や後続期間での再現は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価米国SPXのリスク中立分布を推定した研究で、日経225や日本のSQ制度は検証していない。
観測結果
負のジャンプ尾部形状
短期オプションから推定した負のジャンプ尾部の形状には、市場ボラティリティだけでは説明されない変動があった。。
効果量未掲載(not_reported)
論文は売り戦略の実現収益率や追証頻度を報告する研究ではない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- Journal of Finance査読版https://doi.org/10.1111/jofi.12486
- NBER Working Paper 21491(2015年)https://doi.org/10.3386/w21491