デルタヘッジ損益と負の市場ボラティリティ・リスクプレミアム
Delta-Hedged Gains and the Negative Market Volatility Risk Premium
Gurdip Bakshi、Nikunj Kapadia(2003)『The Review of Financial Studies』
ひとことで言うと
オプション価格に含まれるボラティリティ保険の対価を、デルタヘッジ後の損益から調べた研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
原資産方向を抑えた後にも、オプション買い側の損益不足が残る
- オプションを買うS&P 500指数のコールまたはプットを保有
- デルタヘッジする原資産方向の小幅な変動を日次で抑える
- 満期まで損益を測るマネーネスと市場ボラティリティ別に比較
- 平均損益はゼロ未満負のボラティリティ・リスクプレミアムと整合
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
デルタヘッジ買いポートフォリオの平均損益不足を観測。
- 取引費用
-
未確認
売り手の証拠金、追証、強制決済を含む費用後成績は未検証。
- 再現性
-
未確認
独立標本での同一設計の再現は未評価。
- 日本市場
-
未確認
日経225オプションは標本に含まれない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
原資産の小さな値動きをデルタヘッジで抑えた後にもオプション買い側の平均損益が残るなら、その符号と大きさから市場がボラティリティ・リスクへ付けた価格を読み取れるかを問います。
どうやって調べたのか
1988年1月1日から1995年12月30日までのS&P 500指数オプションを用い、オプションを買って原資産を売るデルタヘッジを満期まで日次で組み直します。満期14~60日のコールとプットを対象に、マネーネスや市場ボラティリティ別の損益を比較し、ジャンプへの懸念も回帰で考慮します。
何が分かったのか
デルタヘッジ買いポートフォリオの平均損益はゼロを下回りました。不足は権利行使価格がアット・ザ・マネーから離れるほど小さく、高ボラティリティ時ほど大きくなりました。ジャンプへの懸念を考慮した後も、ボラティリティ・リスクプレミアムとの関係が残りました。
この結果をどう読めばよいか
売り側が無条件に利益を得ることを示す結果ではありません。観測された価格差はボラティリティ・リスクを引き受ける補償と整合するという内容です。最短満期は14日であり、満期前日だけの売却、証拠金、追証、強制決済、日経225オプションは検証していません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 1988-01-01〜1995-12-30
- 対象銘柄群
- S&P 500指数オプション(満期まで14~60日、先渡し価格対比のマネーネスが±10パーセント以内)
- 観測頻度
- daily
- 再現性
- 未評価独立標本による同一設計の追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価米国のS&P 500指数オプションを対象とし、日経225オプションでは検証されていない。
観測結果
デルタヘッジ買いポートフォリオの平均損益
オプションを買い、原資産でデルタヘッジしたポートフォリオの平均損益はゼロを下回った。。
効果量未掲載(risk_adjusted)
原典は36,237件のコールと35,030件のプットを構成したと記載するが、単一の代表効果量は示していないため値は収録しない。
ボラティリティと損益不足の関係
デルタヘッジ損益の不足は高ボラティリティ時ほど大きく、ジャンプへの懸念を考慮した後もボラティリティ・リスクプレミアムが損益に有意に関係した。。
効果量未掲載(risk_adjusted)
方向と統計的関係を収録し、回帰係数は本レコードへ転記していない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.1093/rfs/hhg002
- 著者公開版https://people.umass.edu/~nkapadia/docs/Bakshi_and_Kapadia_2003_RFS.pdf