手数料控除後に継続して勝てるデイトレーダーは1%未満だった
The cross-section of speculator skill: Evidence from day trading
Brad M. Barber、Yi-Tsung Lee、Yu-Jane Liu、Terrance Odean(2014)『Journal of Financial Markets』
出版社ページ(DOI) 著者ページ(UC Berkeley Haas, Terrance Odean)掲載の出版版PDF
ひとことで言うと
台湾のデイトレーダーを1992年から2006年まで追い、手数料控除後に継続して勝てるのは1%未満だと報告した研究。
図で読む:この研究は何を比べたか
腕前の差は大きいが、費用を越えるのは1%未満
前年の上位500人
翌年に手数料控除前61.3、控除後37.9ベーシスポイント/日。
前年のデイトレード成績による順位
前年の下位層
翌年に手数料控除前-11.5、控除後-28.9ベーシスポイント/日。
控除後も正の超過リターンを継続できたのは1%未満
利益への距離
- 観測された差
-
一部のみ
正の超過リターンを継続できたのは上位の一部で、下位層は控除前から負である。
- 取引費用
-
一部のみ
手数料と取引税の控除後に正の超過リターンが残るのは全体の1%未満に限られる。
- 再現性
-
未確認
独立した研究者による別標本での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
未確認
標本は台湾市場であり、日本市場のデイトレードは検証されていない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
デイトレーダーの平均成績が悪いことは知られていますが、平均の裏側には大きなばらつきがあるかもしれません。前年に成績が良かった人は翌年も勝てるのか、それとも前年の好成績は偶然の結果にすぎないのか。この研究は、腕前の差が手数料を差し引いた後にも残るのかを問います。
どうやって調べたのか
台湾証券取引所の全取引記録を用い、1992年から2006年までのデイトレーダーを対象にします。ある年のデイトレード成績で投資家を順位付けし、その翌年の成績を集計するという手順で、前年の順位が翌年の成績を予測するかを確かめます。成績は手数料控除前と、売買手数料と取引税を差し引いた控除後の両方で測ります。
何が分かったのか
前年の成績で上位500人に入った層は、翌年に手数料控除前で61.3、控除後で37.9ベーシスポイントの日次リターンを得ました。下位に位置した層は控除前で-11.5、控除後で-28.9ベーシスポイントでした。上下の開きは非常に大きい一方で、手数料控除後の正の超過リターンを予測可能かつ信頼できる形で得られたのは、デイトレーダー全体の1%未満にとどまります。
この結果をどう読めばよいか
腕前の差は実在するが、その差が手数料の壁を越える人はごく一部である、という二つの内容を同時に示した結果です。上位500人の数値は前年の成績で選ばれた層の平均であり、これから始める人が同じ成績を得られることを意味しません。標本は台湾市場の1992年から2006年であり、手数料と取引税の水準が異なる日本市場では検証されていません。
- 対象市場
- その他
- 標本期間
- 1992
〜2006 - 対象銘柄群
- 台湾証券取引所の全取引記録に基づく、台湾市場のデイトレーダー全体
- 観測頻度
- daily
- 再現性
- 未評価手数料控除後に持続的な優位を得られるのが1%未満という結果について、著者らと独立した研究者による別市場・別標本での再現は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価標本は台湾証券取引所の取引記録であり、手数料と取引税の水準が異なる日本市場での成立は評価していない。
観測結果
前年の成績で上位500人に入った層の翌年リターン
ある年のデイトレード成績で順位付けした上位500人は、翌年に手数料控除前61.3、控除後37.9ベーシスポイントの日次リターンを得た。。
効果量37.9 ベーシスポイント/日(手数料控除後)(net_of_costs)
抄録記載の値。同じ層の手数料控除前は61.3ベーシスポイント/日である。
前年の成績で下位に位置した層の翌年リターン
下位に位置したデイトレーダーは、翌年に手数料控除前-11.5、控除後-28.9ベーシスポイントの日次リターンだった。。
効果量-28.9 ベーシスポイント/日(手数料控除後)(net_of_costs)
抄録記載の値。同じ層の手数料控除前は-11.5ベーシスポイント/日である。
手数料控除後に継続して正の超過リターンを得た割合
デイトレーダー全体のうち、手数料控除後の正の超過リターンを予測可能かつ信頼できる形で得られたのは1%未満だった。。
効果量未掲載(net_of_costs)
抄録は「1%未満」とだけ記しており、正確な比率は示されていないため数値化しない。
単年で手数料控除後に黒字だった割合(本文記載)
平均的な年に年間60万台湾ドル超のデイトレードを行った約27.7万人のうち、およそ20%が手数料と取引税の控除後に正の超過リターンを得た。著者らはこのうち一部は偶然によるものと述べている。。
効果量未掲載(net_of_costs)
抄録ではなく本文序論に記載された値であり、抄録の「1%未満」は翌年も継続して得られる割合を指す。単年の黒字と持続的な優位は別の指標である。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
追試の記録
この結果を追試した研究として、当サイトが台帳に持っているレコードです。
- 同一著者が同じ台湾証券取引所の取引記録の1995年から1999年部分を用いた先行ワーキングペーパーであり、標本が重なるため本研究の独立した追試ではない。 関連研究のレコードを見る
「独立研究」は原典と著者が重ならない研究、「同一著者」は原典の著者を含む研究です。追試の件数は網羅ではありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.1016/j.finmar.2013.05.006
- 著者ページ(UC Berkeley Haas, Terrance Odean)掲載の出版版PDFhttps://faculty.haas.berkeley.edu/odean/papers/Day%20Traders/The%20Cross-Section%20of%20Speculator%20Skill.pdf