頻繁な評価と損失回避は株式プレミアムを説明できるか
Myopic Loss Aversion and the Equity Premium Puzzle
Shlomo Benartzi、Richard H. Thaler(1995)『The Quarterly Journal of Economics』
ひとことで言うと
損失への強い反応と短い評価間隔を組み合わせると、投資家が株式を避けるために大きな見返りを必要とする可能性を示した研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
短い評価間隔は損失を目にする機会を増やす
- 損失を強く評価同程度の利得より損失を重く受け止める。
- 短い間隔で確認一時的な損失を評価する機会が増える。
- 株式を避ける保有により大きな見返りを求める説明につながる。
利益への距離
- 観測された差
-
一部のみ
シミュレーションと歴史的プレミアムの整合性を示した。
- 取引費用
-
未確認
個人の売買費用控除後成果は未検証。
- 再現性
-
未確認
独立追試は本レコードで未評価。
- 日本市場
-
未確認
日本市場は対象外。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
株式が債券を大きく上回ってきた事実を、損失回避と、長期投資家も資産の増減を頻繁に確認するという二つの行動条件から説明できるか。評価間隔を変えたとき、観測された株式プレミアムと整合する条件があるかを問います。
どうやって調べたのか
プロスペクト理論で既に推定された損失回避の条件を使い、株式と債券の収益を異なる間隔でまとめて評価するシミュレーションを行います。評価間隔が変わると損失として見える頻度と、株式を受け入れるために必要な収益差がどう変わるかを照合します。
何が分かったのか
損失回避と頻繁な評価の組み合わせを近視眼的損失回避と呼び、投資家がポートフォリオを年に一度評価する条件では、既推定の行動パラメータと株式プレミアムの大きさが整合すると報告しました。
この結果をどう読めばよいか
これは行動条件で市場全体のプレミアムを説明するシミュレーションです。画面を見る回数を減らした人が実際に売買を減らし、費用や税を引いた収益を増やしたという因果比較ではありません。「第二のプレミアム」の直接証拠ではなく、その仮説を構成する評価頻度の仕組みに限った根拠です。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 未確認(確認した出版社抄録にシミュレーションへ用いた収益系列の期間が記載されていないため未確認)
- 対象銘柄群
- 米国の株式と債券の収益分布を用いた投資家の評価間隔のシミュレーション
- 観測頻度
- simulated
- 再現性
- 未評価後続の実験や市場データによる独立検証は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価米国の株式プレミアムを説明するシミュレーションであり、日本市場は検証していない。
観測結果
主要な観測結果
損失回避と頻繁なポートフォリオ評価を組み合わせると、年に一度評価する条件で観測された株式プレミアムの大きさと整合した。
効果量未掲載(not_reported)
出版社抄録の定性結果のみを掲載し、シミュレーション値は補完していない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- Oxford Academic出版社ページhttps://academic.oup.com/qje/article-abstract/110/1/73/1894013
- UCLA掲載全文PDFhttps://www.anderson.ucla.edu/documents/areas/fac/accounting/myopic_loss_aversion.pdf