レバレッジ型ETFの複利効果は、ボラティリティが高いほど不利とは限らない
Understanding leveraged ETFs’ compounding effect
Narat Charupat、Zhe Ma、Peter Miu(2022)『Managerial Finance』
ひとことで言うと
レバレッジ型ETFはボラティリティが高いほど不利になるとは限らず、市場環境しだいだと示したシミュレーション研究。
図で読む:この研究は何を比べたか
理論予測と、非対称ボラティリティを入れた結果の分かれ方
通常の理論予測
ボラティリティが高いほど成績に不利
ボラティリティの非対称性を考慮するかどうか
非対称ボラティリティを組み込んだ場合
有利・不利は生じた市場環境しだいで変わる
理論予測と整合しない結果が生じる条件がある
利益への距離
- 観測された差
-
対象外
収益戦略の検証ではなく、理論予測とシミュレーション結果の食い違いを説明する研究である。
- 取引費用
-
未確認
取引費用を差し引いた評価は抄録に示されていない。
- 再現性
-
未確認
非対称ボラティリティを組み込んだ結果について、独立標本での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
未確認
標本は米国上場のLETFのシミュレーションであり、日本市場は検証されていない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
理論上は、レバレッジ型ETFの期間リターンは原指数のボラティリティが高いほど不利になるとされてきました。ところが実際のデータを使ったシミュレーションでは、この理論予測と食い違う結果が報告されることがあります。この研究は、その食い違いがどこから生まれるのかを問います。
どうやって調べたのか
S&P500株価指数の過去のリターンを用い、+3倍と-3倍のレバレッジ型ETFについて日次のシミュレーション分析を行います。上昇局面と下落局面でボラティリティの現れ方が異なるという『非対称ボラティリティ』の効果をモデルへ組み込み、通常のボラティリティだけを考える理論予測と比較します。
何が分かったのか
非対称ボラティリティを組み込むと、ボラティリティの高さは常にレバレッジ型ETFの成績を悪化させるわけではないとわかりました。成績が悪化するかどうかは、高ボラティリティがどのような市場環境(上昇局面か下落局面か)で生じたかに左右されます。この結果は、理論予測と過去の実証研究の食い違いを説明する手掛かりになります。
この結果をどう読めばよいか
レバレッジ型ETFのボラティリティに対する見方を単純化しすぎないための研究であり、常に有利あるいは不利という結論を示したものではありません。市場環境の分類はシミュレーション上の仮定に依存し、S&P500連動の+3倍・-3倍という特定の商品設計に基づいています。日本市場のレバレッジ型商品や取引費用は検証の対象に含まれていません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 2022
〜2022 - 対象銘柄群
- S&P500株価指数の過去リターンに基づく+3倍および-3倍のレバレッジ型ETFのシミュレーション。確認した抄録に標本期間の記載はなく、期間は出版年で代用している。
- 観測頻度
- daily
- 再現性
- 未評価非対称ボラティリティを組み込んだシミュレーション結果について、独立標本での再現は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価標本は米国上場のS&P500連動LETFのシミュレーションであり、日本市場での成立は評価していない。
観測結果
主要な観測結果
非対称ボラティリティを組み込んでシミュレーションすると、ボラティリティの高さが常にレバレッジ型ETFの成績へ不利に働くわけではなく、高ボラティリティが生じた市場環境しだいで結果が変わる。。
効果量未掲載(not_reported)
理論予測との乖離の大きさは抄録に単一の効果量として示されておらず、方向のみを収録する。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
追試の記録
この結果を追試した研究として、当サイトが台帳に持っているレコードです。
- レバレッジ型ETFの複利効果を経路依存の関係式として定式化した先行研究であり、本研究の非対称ボラティリティ拡張の追試ではない。 関連研究のレコードを見る
「独立研究」は原典と著者が重ならない研究、「同一著者」は原典の著者を含む研究です。追試の件数は網羅ではありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.1108/mf-07-2022-0307