過去の株式リターンへの外挿は将来の期待をどこまで歪めるか
Irrational Optimism
Elroy Dimson、Paul Marsh、Mike Staunton(2004)『Financial Analysts Journal』
ひとことで言うと
過去の株式リターンをそのまま将来へ当てはめる想定は、リターンを高く見積もり、損失リスクを低く見積もりがちだと論じた学術誌記事です。
図で読む:この研究は何を比べたか
過去実績への外挿が生む楽観の構造
- 過去実績を将来へ外挿過去の平均リターンや値動きの幅を将来の見積もりにそのまま当てはめる
- 期待リターンを過大評価実現可能な水準より高いリターンを将来に見込んでしまう
- リスクを過小評価実質的な損失が生じる確率を実際より低く見積もる
- 損失確率の見誤り長期保有でも安全とは限らない可能性を軽視する
利益への距離
- 観測された差
-
一部のみ
抄録は過去実績に基づく推論の枠組みを示すが、具体的な検証データは記載がない。
- 取引費用
-
未確認
取引コストや費用控除後の実績への言及はない。
- 再現性
-
未確認
追試の有無は本レコードでは確認していない。
- 日本市場
-
未確認
対象国の列挙が抄録になく、日本市場への当てはめは確認できない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
投資家が「株式は長期で持てば安全」と考えるとき、その根拠となる過去の平均リターンや値動きの幅を将来にそのまま当てはめてよいのか。実現し得るリターンの水準と、投資期間を通じて実質的な損失に陥る確率を、著者らはどう位置づけているかを問う記事です。
どうやって調べたのか
著者らは、株式投資で実質的な損失が生じる確率は、期待される実質リターンとその振れ幅である標準偏差の二つの要素で決まるという考え方を示す。多くの投資家がこの二つを見積もる際、過去の実績データをそのまま将来へ外挿している点に注目し、その外挿がもたらす楽観の性質を検討する構成になっている。
何が分かったのか
到達した抄録によれば、株式投資から得られる見込みのリターンは魅力的である一方、投資期間を通じて優れた成果を保証するものではないと結論づける。多くの投資家が想定する将来リターンの水準は実現可能な水準より高く、逆に投資家が認識するリスクは実際の水準より低いと指摘している。
この結果をどう読めばよいか
この記事は、期待形成における楽観の構造を一般的な立場から論じたものであり、対象とした国の数や標本期間、損失確率の具体的な数値は、到達できた抄録には記載がない。特定市場での実証結果や日本市場への当てはめを直接示す記述もないため、一般的な注意喚起として読む必要がある。
- 対象市場
- グローバル
- 標本期間
- 未確認(到達したCFA Institute掲載抄録に対象国数・標本期間の具体的な記載がないため確認できない)
- 対象銘柄群
- 長期の株式投資を検討する投資家一般(抄録に対象国の列挙なし)
- 観測頻度
- annual
- 再現性
- 未評価独立した追試の有無は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価到達したCFA Institute掲載抄録に対象国の列挙がなく、日本市場を含むかどうか確認できないため。
観測結果
損失確率の過小評価
株式で実質的な損失が生じる確率は期待リターンと標準偏差で決まり、過去実績からの外挿に基づく投資家の想定はこの確率を過小評価しがちだと論じている。
効果量未掲載(not_reported)
CFA Institute掲載抄録の方向のみを掲載する。具体的な確率値の記載はない。
期待リターンの過大評価
多くの投資家が将来に見込む株式リターンの水準は、実現可能な水準より高く、株式が投資期間を通じて優れた成果を保証するものではないと指摘している。
効果量未掲載(not_reported)
抄録は方向性のみを述べ、具体的な数値は示していない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.2469/faj.v60.n1.2589
- CFA Institute研究ページ(抄録)https://rpc.cfainstitute.org/research/financial-analysts-journal/2004/irrational-optimism