レバレッジ型ETFに、どこまでの倍率と保有期間なら許容できるか
Leveraged exchange-traded funds: admissible leverage and risk horizon
Tim Leung、Marco Santoli(2012)『The Journal of Investment Strategies』
ひとことで言うと
レバレッジ型ETFにどこまでの倍率と保有期間なら許容できるかを、VaR等のリスク尺度から数量的に導いた研究。
図で読む:この研究は何を比べたか
許容レバレッジとホライズンで損切り・利確を評価する
- LETFの実証リターンを確認S&P500連動の主要レバレッジ型ETFと非レバレッジETFの実証リターンを比較し、保有期間が伸びるほど成績が劣化する傾向を確認する。
- 許容レバレッジ比率を定義VaRや条件付きVaR等のリスク尺度から、投資家が許容できるレバレッジ倍率を定義し、過大なリスクのLETFを除外する手掛かりとする。
- 許容リスクホライズンを示す保有期間を適切に選ぶことでリスク露出を制御できるという考え方を示す。
- ホライズン内リスクを計算保有期間中のいずれかの時点でリスクが基準を超える確率を計算し、損切り・利確戦略を評価する。
- ボラティリティ露出の影響を調べる異なるレバレッジ型ETFポートフォリオについて、ボラティリティへの露出がリターンに与える影響を調べる。
利益への距離
- 観測された差
-
対象外
収益改善そのものではなく、リスク尺度に基づく許容レバレッジとホライズンの枠組みを提示した研究である。
- 取引費用
-
未確認
取引費用を差し引いた評価は抄録に示されていない。
- 再現性
-
未確認
許容レバレッジ・許容リスクホライズンの枠組みについて、独立標本での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
未確認
標本は米国上場のLETFであり、日本市場は検証されていない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
レバレッジ型ETFは短期の値動きを指数の倍率に合わせる商品ですが、長く持つほど非レバレッジ型に劣後しやすいと言われます。投資家はどのレバレッジ倍率まで、どのくらいの期間まで持ち続けてよいのか。この研究は、リスク尺度を使ってその上限を数量的に定義できるかを問います。
どうやって調べたのか
S&P500に連動する主要なレバレッジ型ETFと非レバレッジETFの実証リターンを比較したうえで、VaRや条件付きVaRといったリスク尺度から『許容レバレッジ比率』を導入します。あわせて、保有期間を選ぶことでリスク露出を制御できるという『許容リスクホライズン』の考え方を示し、保有期間中のいずれかの時点でリスクが基準を超える確率(ホライズン内リスク)を計算して、損切り・利確戦略の評価にも用います。
何が分かったのか
保有期間が伸びるほど、レバレッジ型ETFは非レバレッジ型に対して成績が劣化し、この劣化はレバレッジ倍率が高いほど大きいと確認されました。許容レバレッジ比率を使うことで、リスクが過大なレバレッジ型ETFを事前に除外する目安が得られます。ホライズン内リスクの計算を通じて、損切り・利確戦略がどこまでリスクを抑えられるかを評価する枠組みも示されました。
この結果をどう読めばよいか
特定の損切り・利確ルールの優劣を断定した研究ではなく、リスクを測るための枠組みを提示したものです。許容レバレッジやホライズンの具体的な水準は投資家のリスク許容度に依存し、一律の答えはありません。標本は米国上場のS&P500連動LETFに限られ、日本の同種商品や信用取引の費用は検証されていません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 2012
〜2012 - 対象銘柄群
- S&P500に連動する主要なレバレッジ型ETFと、同一指数の非レバレッジETFの実証リターン。確認した抄録に標本期間の記載はなく、期間は出版年で代用している。
- 観測頻度
- not_applicable
- 再現性
- 未評価許容レバレッジ比率と許容リスクホライズンという枠組みについて、独立標本での再現は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価標本は米国上場のS&P500連動LETFであり、日本市場での成立は評価していない。
観測結果
主要な観測結果
S&P500連動の主要レバレッジ型ETFの実証リターンを非レバレッジETFと比較すると、保有期間が伸びるほど成績が劣化し、レバレッジ倍率が高いほど劣化が大きい。。
効果量未掲載(not_reported)
劣化の程度を表す単一の効果量は抄録に示されておらず、方向のみを収録する。
許容レバレッジと許容リスクホライズンの導入
VaRや条件付きVaR等のリスク尺度から許容レバレッジ比率と許容リスクホライズンを定義し、ホライズン内リスクを用いて損切り・利確戦略を評価する枠組みを示した。。
効果量未掲載(not_reported)
枠組みの提示が主要な貢献であり、数値の効果量という形では抄録に示されていない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
追試の記録
この結果を追試した研究として、当サイトが台帳に持っているレコードです。
- レバレッジ型ETFのリターンが原指数の経路に依存することを示した先行研究であり、本研究の許容レバレッジ・ホライズンの枠組みの追試ではない。 関連研究のレコードを見る
「独立研究」は原典と著者が重ならない研究、「同一著者」は原典の著者を含む研究です。追試の件数は網羅ではありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.21314/jois.2012.013
- 発行元の抄録ページhttps://www.risk.net/journal-of-investment-strategies/2228968/leveraged-exchange-traded-funds-admissible-leverage-and-risk-horizon