自動加入と初期設定は退職貯蓄の選択をどこまで変えるか
The Power of Suggestion: Inertia in 401(k) Participation and Savings Behavior
Brigitte C. Madrian、Dennis F. Shea(2001)『The Quarterly Journal of Economics』
ひとことで言うと
退職貯蓄を自動加入にすると参加が増える一方、拠出率と運用先の初期設定へ多くの人がとどまることを示した研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
自分で加入する方式から自動加入へ
自分で申し込む
行動しないと加入しない
制度の初期状態を変更
自動加入
行動しないと初期設定で継続する
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
企業の制度変更前後の管理データで参加行動を観測した。
- 取引費用
-
未確認
費用控除後投資成果は比較していない。
- 再現性
-
未確認
他企業での追試は未評価。
- 日本市場
-
未確認
日本の制度は対象外。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
同じ企業の401(k)制度で、従業員が自分で申し込む方式から自動加入へ変わると参加行動はどう変わるか。会社が設定した拠出率と運用先は、その後の選択にどの程度残るかを問います。
どうやって調べたのか
米国の大企業一社について、401(k)制度の自動加入導入前後に雇われた従業員の管理データを比較します。参加の有無だけでなく、拠出率と資金配分が会社の初期設定と一致したままかを調べます。
何が分かったのか
自動加入は参加率を大きく高め、勤続期間や属性による参加率の差を縮めました。同時に、自動加入後の参加者の相当部分が初期設定の拠出率と運用先の両方にとどまり、慣性と会社の提案として受け取る作用が示唆されました。
この結果をどう読めばよいか
初期設定によって投資への参加や継続が変わることは示しますが、その運用先が最適だったことや、参加者の費用控除後収益が増えたことを直接示す研究ではありません。一企業の米国制度であり、日本の口座や任意の株式保有へ一般化できません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 未確認(確認したBYUリポジトリの抄録に観測期間の境界が記載されていないため未確認)
- 対象銘柄群
- 401(k)制度を自動加入へ変更した米国の大企業一社の従業員
- 観測頻度
- administrative
- 再現性
- 未評価他企業や他制度での独立追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価米国企業一社の401(k)制度であり、日本の年金制度や証券口座は検証していない。
観測結果
自動加入と参加
自動加入は401(k)への参加率を大きく高め、加入時点による参加率の差を縮めた。
効果量未掲載(not_reported)
BYUリポジトリ抄録の方向のみを掲載する。
初期設定への滞留
自動加入後の参加者の相当部分が会社設定の拠出率と運用先の両方にとどまった。
効果量未掲載(not_reported)
抄録は慣性と会社からの助言として初期設定を受け取ることの双方を説明候補に挙げる。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.1162/003355301753265543
- BYU ScholarsArchive一次資料ページhttps://scholarsarchive.byu.edu/facpub/9087/