慎重な会計処理は決算後の株価変化にどう関わるか
Conservatism and Cross-Sectional Variation in the Post–Earnings Announcement Drift
Ganapathi S. Narayanamoorthy(2006)『Journal of Accounting Research』
ひとことで言うと
損失を利益より早く認識する会計の保守主義が、利益の持続性と決算発表後ドリフトの企業差を生むか調べた研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
損失企業の会計特性を分けると、決算後の差が見える
従来のPEAD分類
損失企業の差を捉えにくい
利益の分類方法
保守主義を加えた分類
追加のリターン差
会計特性が追加情報
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
分類間の差を観測。
- 取引費用
-
未確認
費用・実時間データ後は未確認。
- 再現性
-
未確認
独立再現は未評価。
- 日本市場
-
未確認
日本会計制度では未検証。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
四半期利益の予想外部分がどれほど次期へ続くかは、直近利益が黒字か赤字かで違う可能性があります。市場がこの「損失効果」を無視するため、標準化予想外利益の自己相関とPEADに予測可能な差が残るかを問います。
どうやって調べたのか
米国企業の四半期利益を用い、直近の利益実現値の符号によって標準化予想外利益の自己相関と発表後リターンがどう変わるかを横断面比較します。会計年度をまたぐ四半期差による既知の効果と区別し、両者を組み合わせた場合も検証します。
何が分かったのか
損失企業では保守的会計により利益系列の性質が異なるのに、市場がその差を十分反映しない「損失効果」を報告します。この情報を加えた分類は従来のPEAD戦略より高いリターンを示し、年度境界効果とは別で、組合せに追加情報がありました。
この結果をどう読めばよいか
保守主義そのものが異常リターンを生むと因果的に確定した研究ではありません。利益の符号が示す時系列特性を市場が過小評価するという解釈です。会計基準、赤字企業の構成、データ利用時点が異なる日本企業へ結果を直接移すことはできません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 1978
〜2003 - 対象銘柄群
- 米国企業の四半期利益と株価データ
- 観測頻度
- quarterly
- 再現性
- 未評価独立した追試関係は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価日本市場での成立は本レコードでは評価していない。
観測結果
主要な観測結果
会計保守主義に由来する損失効果が利益系列の自己相関に横断面差を生み、市場がその差を十分反映しないと報告した。。
効果量未掲載(not_reported)
効果量は一次資料の表定義まで再確認していないため未収録。方向と概略のみを掲載する。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 一次資料ページhttps://doi.org/10.1111/j.1475-679X.2006.00218.x