選択肢に現状があると人はそれを選び続けやすいか
Status Quo Bias in Decision Making
William Samuelson、Richard Zeckhauser(1988)『Journal of Risk and Uncertainty』
ひとことで言うと
選択肢の内容が同じでも、どれを現状として提示するかによって、人が従来の選択を維持しやすくなることを示した研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
同じ選択肢でも現状の指定が選択を変える
中立的に提示
特定の現状を置かず選択肢を比較する
同じ選択問題で現状として置く選択肢を変更
現状を指定
実験と制度選択で現状を維持しやすい
選択肢の中身だけでなく初期状態が判断に影響した
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
現状の指定と選択割合の関係を観測した。
- 取引費用
-
未確認
投資の費用控除後成果は対象外。
- 再現性
-
未確認
独立追試は未評価。
- 日本市場
-
未確認
日本の標本は用いていない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
何もしないことや以前の決定を維持することが選択肢に含まれると、人は中立的に比較した場合より現状を選びやすくなるか。仮想的な問題だけでなく、医療保険や退職制度という重要な現実の選択にも偏りが現れるかを問います。
どうやって調べたのか
複数の意思決定問題で現状として指定する選択肢を変え、選択割合を比較します。さらに大学教員が医療保険と退職制度を実際に選んだデータを用いて、実験だけでなく重要な現実の判断にも同じ偏りが現れるかを検討します。
何が分かったのか
実験では人々が現状として置かれた選択肢へ不釣り合いにとどまり、医療保険と退職制度の選択でも現状維持バイアスが大きいと報告されました。論文は経済学、心理学、意思決定理論から複数の説明を検討します。
この結果をどう読めばよいか
現状維持は継続判断を減らす仕組みの一部を説明しますが、それ自体が収益を増やすとは示していません。対象は実験と福利厚生制度であり、株式の保有期間、売買費用、税、下落リスクを含む投資成果は直接比較されていません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 未確認(確認した一次資料の抄録に実験と制度データの観測期間が記載されていないため未確認)
- 対象銘柄群
- 意思決定実験の参加者、および大学教員による医療保険・退職制度の選択
- 観測頻度
- experimental
- 再現性
- 未評価独立追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価米国の実験と大学教員の制度選択を対象とし、日本市場や日本の制度は検証していない。
観測結果
主要な観測結果
現状の選択肢が設定されると参加者はそれを不釣り合いに選び続け、実際の福利厚生選択でも大きな現状維持バイアスが観測された。
効果量未掲載(not_reported)
抄録の定性結果のみを掲載する。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- Springer出版社ページhttps://doi.org/10.1007/BF00055564
- Harvard大学著者ページ掲載PDFhttps://scholar.harvard.edu/files/rzeckhauser/files/status_quo_bias_in_decision_making.pdf