利益を現金と発生高へ分けると決算後リターンを説明できるか
Accruals, Cash Flows and the Post‐Earnings‐Announcement Drift
Lakshmanan Shivakumar(2006)『Journal of Business Finance & Accounting』
ひとことで言うと
利益サプライズを予想外キャッシュフローと予想外アクルーアルへ分け、決算後の将来リターンとの関係を比較した研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
決算の驚きを現金と発生高に分けると、差が見える
予想外キャッシュフロー
将来リターンとの関係が強い
利益サプライズの成分
予想外アクルーアル
相対的に弱い
現金成分に追加情報
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
二成分の差を観測.
- 取引費用
-
未確認
費用・測定誤差後は未確認.
- 再現性
-
未確認
独立再現は未評価.
- 日本市場
-
未確認
日本会計制度では未検証.
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
市場が決算利益の総額だけを見て、現金を伴う成分と会計上の調整成分の持続性を十分区別しないなら、二成分は将来リターンへの予測力が異なるはずです。その増分情報を問います。
どうやって調べたのか
1988~2003年の米国企業の四半期会計・株価データで、予想外利益をキャッシュフローとアクルーアルへ分解します。各成分と発表後リターンの関係を同時に推定し、総利益サプライズだけの分類と成分別ポートフォリオを比較します。
何が分かったのか
予想外キャッシュフローは予想外アクルーアルより将来リターンと強い正の関係を持ち、総利益サプライズを越える予測情報を持つと報告します。二成分を使う戦略は、利益ニュースだけに基づく戦略を有意に上回りました。
この結果をどう読めばよいか
キャッシュフローが高ければ必ず上昇するという因果則ではありません。成分推定には会計測定誤差があり、異常リターンは期待収益モデルと取引費用に依存します。米国会計基準下の歴史的結果を日本企業へ直結できません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 1988
〜2003 - 対象銘柄群
- 米国上場企業の四半期会計・株価データ
- 観測頻度
- quarterly
- 再現性
- 未評価独立した追試関係は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価日本市場での成立は本レコードでは評価していない。
観測結果
主要な観測結果
予想外キャッシュフローは予想外アクルーアルより将来リターンとの正の関係が強く、利益サプライズを分解した戦略が単独指標を上回ると報告した。。
効果量未掲載(not_reported)
効果量は一次資料の表定義まで再確認していないため未収録。方向と概略のみを掲載する。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 一次資料ページhttps://doi.org/10.1111/j.1468-5957.2006.01425.x