オプション収益は満期までのいつ発生するか
The Timing of Option Returns
Adriano Tosi、Alexandre Ziegler(2017)
ひとことで言うと
S&P 500のOTMプット売りでは収益が満期直前へ集中する一方、最終日の損失リスクも大きくなりました。
図で読む:この研究は何を比べたか
満期直前に平均収益と損失リスクがともに集中
満期1週間前
年率収益8.69パーセント、シャープレシオ2.8
期近OTMプットを売り始める時点と保有期間
満期1日前
年率収益6.60パーセント、シャープレシオ0.95
最終1日の日次分析では最悪値-14.42パーセント
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
満期までの日数別の平均収益と損失分布を原典が報告している。
- 取引費用
-
確認された
主要な満期保有戦略ではビッド・アスクを反映した値が報告されている。
- 再現性
-
未確認
独立標本での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
未確認
日経225オプションは検証していない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
オプション売りのプレミアムは満期サイクルを通じて均等に得られるのか、それとも特定の日へ集中するのかを問います。期近と翌限月を比較し、満期までの日数が平均収益だけでなく損失分布をどう変えるかも検証します。
どうやって調べたのか
1996年1月から2015年8月までのS&P 500指数オプションを使い、期近と翌限月のOTMプットを満期までの異なる時点で売る等加重ポートフォリオを比較しました。非ヘッジと先物によるデルタヘッジ、ミッド価格とビッド・アスクを用いた成績を集計しています。
何が分かったのか
取引費用反映後では、満期4週間前から保有する戦略の年率収益5.52パーセント、シャープレシオ0.66に対し、1週間前からでは8.69パーセント、2.8、1日前からでは6.60パーセント、0.95でした。ミッド価格による日次分析では最終1日の標準偏差が5.39パーセント、最悪値が-14.42パーセントでした。
この結果をどう読めばよいか
報告値の収益率は受取オプション料を基準に計算され、必要証拠金や投資家の総資本に対する収益率ではありません。満期直前の平均収益は、価格ジャンプへの感応度と尾部損失を引き受けた対価として観測されています。米国SPXの結果を日経225へそのまま移せません。
- 対象市場
- 米国
- 標本期間
- 1996-01-02〜2015-08-31
- 対象銘柄群
- S&P 500指数の月次オプション。主分析は期近および翌限月のOTMプットの等加重ポートフォリオ。
- 観測頻度
- daily
- 再現性
- 未評価独立した市場または後続期間での再現は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価米国SPXの月次・現金決済オプションを対象とし、日経225オプションや日本の証拠金制度は検証していない。
観測結果
満期1週間前から売る戦略の年率収益
期近OTMプットを満期1週間前に売り、満期まで保有した超過収益。。
効果量8.69 年率パーセント(net_of_costs)
ビッドで売る取引費用反映値。シャープレシオは2.8。
満期1日前から売る戦略の年率収益
期近OTMプットを満期1日前に売り、満期まで保有した超過収益。。
効果量6.6 年率パーセント(net_of_costs)
ビッドで売る取引費用反映値。シャープレシオは0.95。
最終1日保有の最悪リターン
満期直前の1日だけ期近OTMプットを売った日次ポートフォリオの標本内最悪値。。
効果量-14.42 パーセント(gross)
日次分析はミッド価格を使用。標準偏差は5.39パーセントで、満期20日前から10日前までの4.14パーセントを上回った。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- SSRN著者稿https://doi.org/10.2139/ssrn.2909163