FXのレバレッジ上限規制は、個人トレーダーの損失をどう変えたと報告されていますか
結論
米国の店頭FXトレーダーを対象としたDID分析では、レバレッジ上限規制後に規制対象者の取引量が 23%減り、高レバレッジ利用者の損失が40%緩和したと報告されています。日本の25倍規制の効果は、この台帳では未検証です。
HeimerとSimsek(2019)は、2010年5月から2011年4月の米欧リテールFXトレーダー2,672人を対象に、米国の規制対象群1,193人と欧州の比較群1,479人をDID分析しました。米国の主要通貨 50倍の上限規制について、規制対象トレーダーの取引量が23%減少し、高レバレッジ利用者の損失が40%緩和したと報告しています。買値・売値スプレッドへの影響はないという方向も示されています。
FXの規制を直接扱った研究とは別に、証拠金でレバレッジを掛けるという構造が共通する信用取引側の参考として、Ladley、Liu、Rockey(2020)があります。この研究はFXではなく中国の個人向け信用取引の口座データを対象に、追証の担保要件によって信用取引の期待リターンが理論的に負になる構造を示し、実現損失もしばしば大きいと報告しています。 FXのレバレッジ規制の効果を測ったものではない点に注意が必要です。効果量の数値は台帳に収録されていません。
参照した研究
- 米国のレバレッジ上限規制後、取引量23%減・高レバレッジ利用者の損失40%緩和を報告 台帳のレコードを見る
- 中国の信用取引で追証要件により期待リターンが理論的に負になる構造を報告 台帳のレコードを見る
限界
HeimerとSimsekの結果は米国の店頭FX規制を欧州と比較したもので、日本の25倍規制を検証したものではありません。Ladleyらも中国の信用取引が対象で、日本市場への適用可能性は未評価です。