日経225の日中ボラティリティは、前場と後場それぞれでU字を描く
Intraday and interday volatility in the Japanese stock market
Torben G. Andersen、Tim Bollerslev、Jun Cai(2000)『Journal of International Financial Markets, Institutions and Money』
ひとことで言うと
日経225の5分足を用い、日中のボラティリティが前場と後場それぞれでU字を描く二重U字型になると報告した研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
前場と後場、それぞれにU字が現れる
- 5分収益率を作る日経225現物の分単位データを5分間隔へ集計し、984取引日・52,152本の収益率を作る。
- 日中の周期成分を推定する柔軟フーリエ形式の回帰で、一日の中で繰り返されるボラティリティのパターンを推定する。
- 二重U字型を確認する前場と後場それぞれの始まりと終わりで絶対収益率が高い、二つのU字が並ぶ形が現れる。
- 日をまたぐ依存を調べる周期成分を取り除いた収益率で、日をまたぐ長期記憶型のボラティリティ依存を確認する。
- 公表統計の影響を測る日本のマクロ経済統計の公表が、日々のボラティリティ変動をほとんど説明しないことを確認する。
利益への距離
- 観測された差
-
対象外
本研究はボラティリティの時間帯パターンの観測であり、売買による収益は測定していない。
- 取引費用
-
未確認
取引費用や税を差し引いた後の評価は行われていない。
- 再現性
-
未確認
独立標本での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
確認された
標本は東証の日経225現物指数そのものであり、日本市場で直接観測されている。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
東証の取引は昼休みをはさんで前場と後場に分かれ、各セッションの寄り付きは板寄せ、その後はザラバという方式で行われます。米国株について繰り返し報告されてきた一日一つのU字型のボラティリティ・パターンが、こうした区切りを持つ日本市場にもそのまま当てはまるのかを問います。
どうやって調べたのか
日本経済新聞社から提供された日経225現物指数の分単位データを5分間隔へ集計し、1994年1月2日から1997年12月31日までの984取引日、1日53本、合計52,152本の収益率を作ります。夜間情報の反映で変動が突出する09:00〜09:05は除外します。柔軟フーリエ形式の回帰で日中の周期成分を推定し、周期を取り除いた収益率で日をまたぐ依存とマクロ経済統計公表の影響を調べます。
何が分かったのか
絶対収益率の平均は前場の始まりで高く、前場の半ばにかけて下がり、昼休みの前後で持ち直し、後場の終わりへ向けて再び高くなりました。結果として前場と後場それぞれにU字が現れる二重U字型になります。日中の周期成分を取り除くと、日をまたぐ長期記憶型のボラティリティ依存が確認されました。一方、識別しやすい日本のマクロ経済統計の公表は、日々のボラティリティ変動をほとんど説明しませんでした。
この結果をどう読めばよいか
観測されているのは値動きの荒さの時間帯分布であり、どの時間帯にどう売買すれば費用を差し引いた後に何が残るかは検証されていません。標本は1994年から1997年の日経225現物指数で、当時の東証の昼休みは11:00から12:30でした。取引時間や制度が変われば観測されるパターンも変わり得ます。公表統計の説明力が低いという結果も、この標本と公表項目の範囲での報告です。
- 対象市場
- 日本
- 標本期間
- 1994-01-02
〜1997-12-31 - 対象銘柄群
- 日本経済新聞社から提供された日経225現物指数の分単位データを5分間隔へ集計した収益率。対象時間帯は09:00〜15:00(大阪証券取引所の日経225先物の取引時間に対応)で、当時の東証は11:00〜12:30が昼休み。夜間情報の反映で変動が突出する09:00〜09:05の初回収益率を除外し、984取引日×1日53本、合計52,152本の5分収益率を用いる。
- 観測頻度
- 5min
- 再現性
- 未評価二重U字型の日中パターンと長期記憶の存在について、独立標本での再現は本レコードでは評価していない。標本期間が異なる日本市場の関連研究を内部evidenceとして参照するに留める。
- 日本市場での有効性
- 支持標本は東京証券取引所の日経225現物指数そのものであり、報告された日中パターンは日本市場の標本で直接観測されている。ただし1994〜1997年の観測であり、その後の取引時間・制度変更のもとでの再確認はこのレコードでは行っていない。
観測結果
日中ボラティリティの形
5分収益率の絶対値の平均は、前場と後場それぞれの始まりと終わりで高く中盤で低い。昼休みの直前と直後に上昇が加わることで、一日の中に二つのU字が並ぶ二重U字型のパターンが現れた。。
効果量未掲載(not_reported)
時間帯ごとの水準は原典の図表を参照。抄録には効果量が示されていないため数値は収録していない。
日をまたぐボラティリティの依存
日中の強い周期成分を取り除くと、日をまたぐ長い期間にわたって薄れない長期記憶型のボラティリティ依存が確認された。。
効果量未掲載(not_reported)
長期記憶の強さを表す推定値は原典本文の推定結果を参照。抄録には数値が示されていない。
マクロ経済統計の公表の影響
識別しやすい日本のマクロ経済統計の公表は、日々のボラティリティ変動をほとんど説明しなかった。個別の公表項目には短期的な影響が見られるものもあった。。
効果量未掲載(not_reported)
公表項目ごとの推定値は原典本文を参照。抄録には説明力の数値が示されていない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
追試の記録
この結果を追試した研究として、当サイトが台帳に持っているレコードです。
- 1988〜1994年の分刻みデータで日経平均株価と日経225先物の日中ボラティリティにW字型を報告した研究であり、本研究の5分足による分析の追試ではない。 関連研究のレコードを見る
「独立研究」は原典と著者が重ならない研究、「同一著者」は原典の著者を含む研究です。追試の件数は網羅ではありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.1016/S1042-4431(99)00029-3
- Duke大学 著者ページ(著者版全文PDF)https://public.econ.duke.edu/~boller/Published_Papers/jifmim_00.pdf