夜間の窓開けを織り込んでも、損切りは効くのか
On the efficacy of stop-loss rules in the presence of overnight gaps
Argimiro Arratia、Albert Dorador(2019)『Quantitative Finance』
ひとことで言うと
夜間の窓開けや急落を価格モデルへ入れても、損切りは上昇局面でリスク調整後リターンを改善したと報告した研究。
図で読む:この研究は何を比べたか
上昇局面と下落局面で、改善する指標が違う
上昇局面
リスク調整後リターンが改善
評価した相場局面
下落局面
期待リターンの絶対値が改善
局面ごとに改善する指標が入れ替わる
利益への距離
- 観測された差
-
一部のみ
実市場の売買記録ではなく価格モデル上での評価にとどまる。
- 取引費用
-
未確認
取引費用控除後の比較は抄録に示されていない。
- 再現性
-
未確認
独立標本での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
未確認
日本市場を対象とした検証は行われていない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
損切りの検証は、価格が連続的に動く前提で行われることがあります。しかし実際の市場では取引時間外に価格が飛び、急落も起きます。こうした不連続を織り込んでも損切りの有効性は残るのか、そして四つの実装のどれが強いのかを問います。
どうやって調べたのか
ランダムウォーク、自己回帰、レジームスイッチングという複数のリターンモデルへ、オーバーナイトギャップとフラッシュクラッシュを組み込みます。その上で四種類の損切り実装を適用し、パラメトリックな手法とノンパラメトリックな定常ブートストラップという二つの経路で評価を突き合わせます。
何が分かったのか
価格モデルへ窓開けと急落を含めた場合でも、上昇局面では多くの指標で期待リスク調整後リターンが改善しました。下落局面では期待リターンの絶対値が改善したと報告されています。評価軸は局面によって異なり、単一の指標で一貫して優れるという結論ではありません。
この結果をどう読めばよいか
実市場の売買記録ではなく、価格モデル上での評価である点に注意が必要です。上昇局面と下落局面で改善する指標が異なるため、どの局面を想定するかで読み方が変わります。取引費用や信用取引の費用は本レコードでは確認しておらず、日本市場での検証も行われていません。
- 対象市場
- グローバル
- 標本期間
- 2019
〜2019 - 対象銘柄群
- オーバーナイトギャップとフラッシュクラッシュを組み込んだ価格モデル(ランダムウォーク、自己回帰、レジームスイッチング)
- 観測頻度
- not_applicable
- 再現性
- 未評価本研究の結論について、独立標本での再現は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価実市場の標本ではなく価格モデルによる評価であり、日本市場での成立は評価していない。
観測結果
主要な観測結果
上昇局面では多くの指標で期待リスク調整後リターンが改善し、下落局面では期待リターンの絶対値が改善した。。
効果量未掲載(not_reported)
局面別に評価軸が異なる報告であり、単一の効果量に要約できない。効果量は原典の表定義を参照。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
追試の記録
この結果を追試した研究として、当サイトが台帳に持っているレコードです。
- 損切りの価値が価格過程の性質に依存するという先行研究であり、本研究はその問いを別の価格モデルとブートストラップで再検討した関連研究である。 関連研究のレコードを見る
「独立研究」は原典と著者が重ならない研究、「同一著者」は原典の著者を含む研究です。追試の件数は網羅ではありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.1080/14697688.2019.1605188
- UPCommons(著者所属機関リポジトリ)https://upcommons.upc.edu/entities/publication/beec842e-6668-4fb4-8c27-c759b05a94b5