デイトレードを続けた個人の97%が、損失に終わった
Day trading for a living?
Fernando Chague、Rodrigo De-Losso、Bruno Giovannetti(2020)『SSRN Electronic Journal(ワーキングペーパー)』
ひとことで言うと
ブラジルのミニIbovespa指数先物で300日超デイトレードを続けた個人の97%が損失に終わったと報告した研究。
図で読む:この研究は何を比べたか
続けた人ほど、利益が残った割合は下がった
2013〜2015年に開始した個人
300日を超えて継続したか
300日超まで続けた個人だけを取り出し、手数料控除後の損益を集計する。
利益が残ったか
97%が損失に終わった。継続日数が長い区分ほどこの割合は高い。
生計の水準に届いたか
最低賃金超は1.1%、銀行窓口係の初任給超は0.5%にとどまった。
生計を立てられた個人の割合
生計の水準に届いた個人はごく一部で、著者らはそれも大きなリスクを伴ったと付記している。
利益への距離
- 観測された差
-
支持されない
300日超の継続者の97%が損失で、生計の水準に届いたのは1.1%以下だった。
- 取引費用
-
一部のみ
取引所・証券会社の手数料は控除済みだが、所得税や取引ツール・講座の費用は含まれない。
- 再現性
-
未確認
同じ設計を別市場・別期間へ適用した独立の追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
未確認
標本はブラジルの指数先物であり、日本の商品は検証されていない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
デイトレードの講座や広告は、それだけで生計を立てられると説明することがあります。では、新しくデイトレードを始めた個人を全員追跡したとき、続けた人ほど成績は良くなるのでしょうか。そして最低賃金や一般的な初任給に届く収入を得られた人は、どれだけいたのでしょうか。
どうやって調べたのか
ブラジル証券取引委員会(CVM)から提供された、2012年から2017年までのミニIbovespa指数先物の取引データを使います。2012年に取引がない個人を新規参入者とみなし、2013年から2015年に開始した19,646人を特定します。損益は取引所手数料と証券会社手数料を差し引いて算出し、継続日数の区分ごとに利益が残った個人の割合を集計します。さらに300日超の継続者について、日次損益を取引の通算日数へ回帰し、続けるうちに成績が改善するかを確認します。
何が分かったのか
継続日数が長い区分ほど、利益が残った個人の割合は下がりました。抄録によれば、300日を超えて続けた個人の97%が損失に終わり、ブラジルの最低賃金を上回る収入を得たのは1.1%、銀行窓口係の初任給を上回ったのは0.5%にとどまりました。著者らは、この少数についても大きなリスクを伴っていたと付記しています。継続者の成績が時間とともに改善する傾向も見つかっていません。
この結果をどう読めばよいか
続けるほど上達するという前提が、この標本では支持されなかったという結果です。標本はブラジルのミニIbovespa指数先物であり、日経225先物やその他の日本の商品は対象に含まれていません。損益は手数料控除後ですが、所得税や取引ツール・講座の費用は差し引かれておらず、著者らは自分たちの数値がデイトレードの成果を過大に見積もっていると述べています。
- 対象市場
- その他
- 標本期間
- 2012
〜2017 - 対象銘柄群
- ブラジル証券取引委員会(CVM)提供のデータに基づく、ミニIbovespa指数先物をデイトレードした全個人。2012年に取引がない個人を新規参入者とみなし、2013年から2015年に開始した19,646人を追跡している。
- 観測頻度
- daily
- 再現性
- 未評価ブラジルのミニIbovespa指数先物という単一標本の結果であり、同じ設計を別市場・別期間へ適用した独立の追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価標本はブラジルのミニIbovespa指数先物であり、日経225先物など日本の商品での成立は評価していない。
観測結果
300日を超えて継続した個人の損益
300日を超えてデイトレードを継続した個人のうち、損失に終わった割合。
効果量97 %(net_of_costs)
抄録の記載値。損益は取引所手数料と証券会社手数料を控除した後の値であり、所得税や取引ツール・講座の費用は含まれていない。
最低賃金を上回った割合
300日を超えて継続した個人のうち、ブラジルの最低賃金を上回る収入を得た割合。
効果量1.1 %(net_of_costs)
抄録の記載値。抄録は、この水準に届いた個人も大きなリスクを伴っていたと付記している。
銀行窓口係の初任給を上回った割合
300日を超えて継続した個人のうち、銀行窓口係の初任給を上回る収入を得た割合。
効果量0.5 %(net_of_costs)
抄録の記載値。比較対象はブラジルの銀行窓口係の初任給である。
継続による成績の変化
300日を超えて継続した個人について、日次損益が取引の通算日数とともに改善する傾向は見られなかった。。
効果量未掲載(net_of_costs)
抄録は改善が見られない旨のみを述べており、回帰係数の大きさは示されていない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
追試の記録
この結果を追試した研究として、当サイトが台帳に持っているレコードです。
- 韓国株式市場のデイトレードの収益性を別の標本と別の指標で分析した研究であり、本研究のブラジル先物標本の追試ではない。 関連研究のレコードを見る
「独立研究」は原典と著者が重ならない研究、「同一著者」は原典の著者を含む研究です。追試の件数は網羅ではありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 著者版ワーキングペーパー全文(2020年6月13日版)https://ebicapital.nl/wp-content/uploads/2022/05/day-trading.pdf
- SSRNページhttps://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3423101