日本の個別株では簿価時価とキャッシュフロー利回りが期待リターンと強く結びつく
Fundamentals and Stock Returns in Japan
Louis K. C. Chan、Yasushi Hamao、Josef Lakonishok(1991)『The Journal of Finance』
ひとことで言うと
1971年から1988年の東証個別株で、簿価時価とキャッシュフロー利回りが期待リターンとの正の関係が最も強いと報告した研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
簿価時価とCF利回りが高い株ほど期待リターンが高い
簿価時価・CF利回りが高い
期待リターンが高い方向
同じ日本株クロスセクションでのファンダメンタル指標
簿価時価・CF利回りが低い
期待リターンが低い方向
4変数のうちこの2つの正の関係が最も強い
利益への距離
- 観測された差
-
確認された
抄録が日本株標本内で4変数と期待リターンの有意な関係を報告している。
- 取引費用
-
未確認
取引費用を差し引いたあとの評価は抄録にない。
- 再現性
-
未確認
独立標本での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
確認された
標本は東証の個別株そのもの。1971〜1988年であり現行制度の再確認は未実施。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
日経平均のPERと日経平均株価が時期によってどう動くかを見た研究ではありません。同じ時点で企業ごとに益回り・規模・簿価時価・キャッシュフロー利回りが違うとき、その後の個別株の期待リターンにも差があるか、4変数のどれが強く結びつくかを問います。
どうやって調べたのか
1971年から1988年にわたる包括的な日本株データを用い、製造・非製造、東京証券取引所の両部、上場廃止銘柄を含む標本で、益回り・規模・簿価時価・キャッシュフロー利回りと期待リターンのクロスセクション関係を推定します。複数の統計仕様と推定法を適用しています。観測頻度は抄録に明示がありません。
何が分かったのか
これら4変数と期待リターンのあいだに有意な関係があると報告しています。4変数のうち、簿価時価とキャッシュフロー利回りが期待リターンへの正の影響が最も強いとしています。効果量の数値は抄録に示されていないため、本レコードでは収録していません。
この結果をどう読めばよいか
観測されているのは個別株クロスセクションの向きであり、日経平均PERの水準から日経平均株価の先行きを読む根拠にはなりません。標本は1971年から1988年の東証株で、現行の市場区分や会計制度のもとでの再確認はこのレコードでは行っていません。取引費用を差し引いたあとの実装可能性も検証されていません。
- 対象市場
- 日本
- 標本期間
- 1971
〜1988 - 対象銘柄群
- 東京証券取引所第一部・第二部の製造企業と非製造企業。上場廃止銘柄を含む。
- 観測頻度
- 抄録に頻度の明示なし
- 再現性
- 未評価1971年から1988年の日本株クロスセクションという単一標本の結果であり、独立標本での再現は本レコードでは評価していない。同じ日本株クロスセクションを後年にファクター対特性の枠で扱った研究を内部evidenceとして参照するに留める。
- 日本市場での有効性
- 支持日本上場株が標本そのものであり、報告された関係は日本市場の個別株クロスセクションで直接観測されている。ただし1971年から1988年の東証株であり、現行の市場区分・会計制度のもとでの再確認はこのレコードでは行っていない。
観測結果
ファンダメンタル4変数と期待リターン
益回り・規模・簿価時価・キャッシュフロー利回りと、日本株の期待リターンのあいだに有意な関係。
効果量未掲載(not_reported)
CrossrefおよびRePEcに掲載された出版社抄録の方向のみ。効果量の数値は抄録に示されていない。
関係が最も強い変数
4変数のうち、簿価時価とキャッシュフロー利回りが期待リターンへの正の影響が最も強い。
効果量未掲載(not_reported)
抄録は「most significant positive impact」と述べるが、変数ごとの係数やt値は示していない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
追試の記録
この結果を追試した研究として、当サイトが台帳に持っているレコードです。
- 同じ日本株クロスセクションを扱うが、ファクター対特性の検定であり本論文の追試ではない。 関連研究のレコードを見る
「独立研究」は原典と著者が重ならない研究、「同一著者」は原典の著者を含む研究です。追試の件数は網羅ではありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.1111/j.1540-6261.1991.tb04642.x
- Crossref作業メタデータ(出版社抄録)https://api.crossref.org/works/10.1111/j.1540-6261.1991.tb04642.x
- RePEc/IDEAS(出版社抄録)https://ideas.repec.org/a/bla/jfinan/v46y1991i5p1739-64.html