レバレッジ型・逆レバレッジ型ETFのリスクとリターンの釣り合い
On the risk-return profile of leveraged and inverse ETFs
Guido Giese(2010)『Journal of Asset Management』
ひとことで言うと
毎日倍率を組み替えるレバレッジ型・逆レバレッジ型ETFについて、成績、変動、費用、最適倍率の関係を数理モデルで整理した研究。
図で読む:この研究は何を比べたか
倍率の効果と変動の損失を同じモデルで見る
- 毎日倍率を組み替える原資産への目標倍率を毎日の値動き後に保ち直す。
- 成長率の効果を測るレバレッジで原資産の成長を押し上げる側の効果を表す。
- 変動の損失を測る原資産の変動が長期の成績を押し下げる側の効果を表す。
- 費用を組み込む取引や資金調達に関わる費用の重要性を評価する。
- 最適倍率をシミュレーションする市場パラメータに応じた期待将来リターンの最大点を調べる。
利益への距離
- 観測された差
-
対象外
収益戦略の実績比較ではなく、倍率とリスクの関係を理論・数値計算で扱う研究である。
- 取引費用
-
一部のみ
取引費用の重要性は評価するが、実際の投資家の手取りは検証していない。
- 再現性
-
未確認
最適倍率モデルの独立標本による追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
未確認
日本のレバレッジ型商品や国内の費用条件は研究対象に含まれていない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
レバレッジを高くすれば原資産の成長を大きく取り込める一方、値動きの大きさや資金調達・取引の費用も成績を押し下げます。毎日倍率を組み替える商品では、成長率の押し上げと変動による損失はどのように釣り合うのでしょうか。市場の状態に応じて、期待将来リターンを最も高くする倍率を理論的に求められるのでしょうか。
どうやって調べたのか
毎日組み替えて原資産への倍率を一定に保つレバレッジ型・逆レバレッジ型指数ファンドを、確率計算にもとづく一般的な数理モデルとして表します。複数資産や異なる資産種類にも広げられる形で、原資産の変動と相関、借入や空売りに関わる費用をモデルの要素に置きます。そのうえで、成績とシャープレシオの関係を導き、日々の倍率調整を前提とした数値シミュレーションで理論の含意を調べます。
何が分かったのか
レバレッジによって成長率を高める効果と、原資産の変動によって成績が失われる効果との釣り合いが示されました。取引費用も長期の成績に影響する要素として扱われ、観測できる市場パラメータに応じて、期待将来リターンを最大にする倍率が存在すると報告されています。ただし、確認した抄録には、その倍率や成績差を表す具体的な数値は示されていません。
この結果をどう読めばよいか
この研究が示すのは、倍率を高くすれば結果も一方向に改善するという関係ではありません。レバレッジの効果は原資産の成長率、変動、相関、資金調達や取引の費用の組み合わせで変わり、最適な倍率も市場パラメータに依存します。理論モデルと数値シミュレーションが中心で、日本の商品、税制、実際の売買条件を用いた評価や、独立した標本での再現は確認していません。
- 対象市場
- その他
- 標本期間
- 未確認(理論モデルと数値シミュレーションが中心で、確認した一次抄録に実証標本の開始・終了時点の記載がないため未確認)
- 対象銘柄群
- レバレッジ型・逆レバレッジ型指数ファンドの毎日組み替えを含む理論モデルと数値シミュレーション。理論研究であり実証標本はない。
- 観測頻度
- daily
- 再現性
- 未評価最適なレバレッジ倍率と費用を含むリスク・リターンモデルについて、独立標本での再現は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価理論モデルと数値シミュレーションを扱う研究であり、日本のレバレッジ型商品での成立は評価していない。
観測結果
リスクとリターンのモデル化
毎日組み替えて原資産に対する倍率を一定に保つレバレッジ型・逆レバレッジ型指数ファンドについて、成績とシャープレシオを表すモデルを導いた。
効果量未掲載(not_reported)
モデルの導出が主眼であり、確認した抄録に単一の効果量は示されていない。
倍率と変動の釣り合い
レバレッジによる成長率の押し上げと、原資産の変動による成績の押し下げとの釣り合いを示した。
効果量未掲載(not_reported)
成績の向きは市場パラメータに依存し、確認した抄録に数値の効果量は記載されていない。
費用と最適な倍率
取引費用の重要性を評価し、数値シミュレーションによって、期待将来リターンを最大にする最適なレバレッジ倍率が存在することを示した。
効果量未掲載(not_reported)
最適倍率の具体的な水準は確認した抄録に示されていないため、数値を収録しない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
追試の記録
この結果を追試した研究として、当サイトが台帳に持っているレコードです。
- レバレッジ型ファンドの期間リターンを経路と実現分散に結び付けた先行研究であり、本研究の最適倍率モデルの追試ではない。 関連研究のレコードを見る
- 許容レバレッジと保有期間をリスク尺度から扱った後年の研究であり、本研究のモデルの独立追試ではない。 関連研究のレコードを見る
「独立研究」は原典と著者が重ならない研究、「同一著者」は原典の著者を含む研究です。追試の件数は網羅ではありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.1057/jam.2010.16
- SSRN著者版抄録https://papers.ssrn.com/sol3/abstract.cfm?abstract_id=1510344
- 著者版(STOXX掲載)https://www.stoxx.com/document/Research/Expert-speak-articles/article_giese_201001.pdf