日本株リターンの系統要因は配当・キャッシュフローと鉱工業生産か
What drives stock returns in Japan?
Samuel Xin Liang(2019)『Financial Markets and Portfolio Management』
ひとことで言うと
日本株のリターンを、配当利回り・キャッシュフロー利回り・鉱工業生産などの系統要因で説明できるかを調べた研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
鉱工業生産を加えるとバリューは残るか
日本株リターンと系統要因
市場・バリュー・サイズを置く
その後も配当利回り・キャッシュフロー利回り・鉱工業生産が残る。
鉱工業生産を追加する
バリューとサイズのプレミアムは非有意になる。
要因か特性かを検定する
キャッシュフロー利回りは双方、他の利回りは特性モデル。
日経平均PERは対象外
抄録が扱うのは個別銘柄の利回りと鉱工業生産である。
利益への距離
- 観測された差
-
一部のみ
方向は査読版抄録で報告されるが、効果量は示されていない。
- 取引費用
-
未確認
取引費用を差し引いた後の評価は抄録に示されていない。
- 再現性
-
未確認
独立標本での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
一部のみ
日本株が対象だが、期間は抄録になく、日経平均PERは対象ではない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
日本株の平均リターンの差は、市場・バリュー・サイズだけで足りるのか。配当利回りやキャッシュフロー利回り、鉱工業生産を加えると説明は変わるのか。ここでの利回りは個別銘柄の特性であり、日経が公表する日経平均PERそのものではありません。
どうやって調べたのか
日本株を対象に、市場・バリュー・サイズに配当利回り・キャッシュフロー利回り・鉱工業生産などのマクロ変数を加えた系統要因を検討します。FamaとMacBethの回帰で、キャッシュフロー利回りについては要因モデルと特性モデルの双方、短期反転・配当利回り・利益利回りについては特性モデルを検定します。到達した査読版抄録には標本期間の記載がなく、期間は出版年で代用しています。
何が分かったのか
市場・バリュー・サイズを置いたあとも、配当利回り・キャッシュフロー利回り・鉱工業生産は系統的な価格付け要因であり、他のマクロ要因はそうではなかったと報告します。鉱工業生産を加えるとバリューとサイズのプレミアムは非有意になり、バリュー要因が日本のマクロファンダメンタルズの変化を捉えているためだと述べます。キャッシュフロー利回りは要因・特性の双方、短期反転・配当利回り・利益利回りは特性モデルが採択されました。
この結果をどう読めばよいか
日本株を直接の対象とした研究ですが、到達した査読版抄録に標本期間は書かれていません。扱っているのは個別銘柄の配当利回りやキャッシュフロー利回り、鉱工業生産であり、日経が公表する日経平均PERそのものではありません。取引費用控除後の評価や、独立標本での追試は本レコードでは確認していません。
- 対象市場
- 日本
- 標本期間
- 2019
〜2019 - 対象銘柄群
- 日本株。到達した査読版抄録に対象銘柄群の定義と標本期間の明示はなく、期間は出版年2019で代用している。 抄録が扱うのは個別銘柄の配当利回り・キャッシュフロー利回り・鉱工業生産などであり、日経が公表する 日経平均PERそのものではない。
- 観測頻度
- 抄録では分析頻度の明示なし
- 再現性
- 未評価日本株の系統要因とリターン予測について、独立標本での再現は本レコードでは評価していない。日本株の低ベータ研究を内部evidenceとして参照するに留める。
- 日本市場での有効性
- 支持日本株が対象である。ただし到達した査読版抄録に標本期間はなく出版年で代用しており、期間の一般化は留保する。 抄録が扱うのは個別銘柄の配当利回り・キャッシュフロー利回り・鉱工業生産などであり、日経が公表する 日経平均PERそのものの使用は記されていない。
観測結果
系統的な価格付け要因
市場・バリュー・サイズを置いたあと、配当利回り・キャッシュフロー利回り・鉱工業生産は系統的な価格付け要因であり、他のマクロ要因はそうではなかった。。
効果量未掲載(not_reported)
査読版抄録の方向のみ。効果量は抄録に示されていない。
鉱工業生産追加後のバリューとサイズ
鉱工業生産要因を市場・バリュー・サイズに加えると、バリューとサイズのプレミアムは非有意になった。抄録はバリュー要因が日本のマクロファンダメンタルズの変化を捉えているためだと述べる。。
効果量未掲載(not_reported)
査読版抄録の方向のみ。係数やt値は抄録に示されていない。
要因モデルと特性モデル
Fama-MacBeth回帰は、キャッシュフロー利回りについて要因モデルと特性モデルの双方を採択し、短期反転・配当利回り・利益利回りについては特性モデルを採択した。。
効果量未掲載(not_reported)
査読版抄録の採択結果のみ。検定統計量は抄録に示されていない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
追試の記録
この結果を追試した研究として、当サイトが台帳に持っているレコードです。
- 日本株を対象とするが低ベータと投資家行動の研究であり、本論文の系統要因やリターン予測の追試ではない。 関連研究のレコードを見る
「独立研究」は原典と著者が重ならない研究、「同一著者」は原典の著者を含む研究です。追試の件数は網羅ではありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.1007/s11408-018-0322-7
- IDEAS/RePEc(査読版抄録)https://ideas.repec.org/a/kap/fmktpm/v33y2019i1d10.1007_s11408-018-0322-7.html
- SSRN working paperhttps://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2474484