有意な裾リスクはオーバーナイトに現れ、日中には現れなかった
Is risk higher during non-trading periods? The risk trade-off for intraday versus overnight market returns
Christoph Riedel、Niklas Wagner(2015)『Journal of International Financial Markets, Institutions and Money』
出版社ページ(DOI、第39巻53-64頁) SSRNワーキングペーパー版(2014年) Crossref登録メタデータ(著者版の抄録を含む出版社登録レコード)
ひとことで言うと
収益率を日中とオーバーナイトへ分け、極端な損失の起きやすさが夜側に偏ることを報告した研究です。
図で読む:この研究は何を比べたか
裾の厚さで測ると、夜側にリスクが偏る
日中のイノベーション
有意な裾リスクは検出されなかった
収益率をどちらの時間帯の成分で見るか
オーバーナイトのイノベーション
有意な裾リスクが検出された
ボラティリティだけで測るとオーバーナイトの下方リスクを過小評価する
利益への距離
- 観測された差
-
対象外
本研究は時間帯別のリスクの測定であり、売買による収益は測定していない。
- 取引費用
-
未確認
取引費用や税を差し引いた後の評価は行われていない。
- 再現性
-
未確認
独立標本での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
-
確認された
日本市場が対象4市場に含まれるが、抄録に市場別の推定値は示されていない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
取引が行われていない時間帯のリスクは、取引時間中のリスクとどう違うのでしょうか。値動きの大きさ(ボラティリティ)だけを見れば日中の方が大きく見えますが、まれに起きる極端な損失、つまり裾の厚さで測ったときに同じ順序になるとは限りません。この研究はその食い違いを問います。
どうやって調べたのか
米国、フランス、ドイツ、日本の主要株式市場の収益率を、取引時間中の日中成分と非取引時間のオーバーナイト成分へ分けます。条件付き分散にはGARCHモデルを、収益率のイノベーションの分布には一般化パレート分布を当てはめます。そのうえで、裾が厚いかどうかと、日中とオーバーナイトの裾指数が等しいかどうかを検定し、条件付きバリュー・アット・リスクを計算して両者を対比します。
何が分かったのか
検定の結果、オーバーナイトのイノベーションには有意な裾リスクが検出された一方、日中のイノベーションには検出されませんでした。オーバーナイトの下方リスクは、中程度のボラティリティ・リスク成分と有意な裾リスク成分から構成されると報告されています。著者らは、日中とオーバーナイトでリスクの姿が異なり、ボラティリティだけに基づくリスク評価はオーバーナイトの下方リスクを大幅に過小評価すると結論しました。
この結果をどう読めばよいか
リスクをどの尺度で測るかによって、日中と夜間の順序が入れ替わり得るという指摘です。収益がどちらの時間帯で得られるかを検証した研究ではなく、取引費用や税を差し引いた後の評価も含まれていません。確認した抄録には標本期間、指数名、市場別の推定値の記載がなく、日本市場についての個別の数値は本レコードでは確認できていません。
- 対象市場
- 米国・欧州・日本
- 標本期間
- 2015
〜2015 - 対象銘柄群
- 米国、フランス、ドイツ、日本の主要株式市場の収益率を、日中(取引時間中)とオーバーナイト(非取引時間)の二つの成分へ分解したもの。確認した抄録に標本期間の記載はなく、期間は出版年で代用している。抄録には指数名、標本銘柄群、観測数の記載もない。
- 観測頻度
- 日中・オーバーナイトの2成分(観測頻度は確認した抄録に記載なし)
- 再現性
- 未評価オーバーナイトのイノベーションだけに有意な裾リスクが現れるという結果について、独立標本での再現は本レコードでは評価していない。確認した抄録には標本外検証の記載もない。
- 日本市場での有効性
- 支持標本は米国、フランス、ドイツ、日本の主要株式市場を対象としており、日本市場が検証対象に含まれる。ただし確認した抄録に市場別の推定値は示されておらず、報告された結論は対象4市場をまとめたものである。
観測結果
裾リスクの所在
収益率のイノベーションについて厚い裾と裾指数の一致を検定したところ、オーバーナイトのイノベーションには有意な裾リスクが検出された一方、日中のイノベーションには検出されなかった。。
効果量未掲載(not_reported)
裾指数の推定値と検定統計量は原典本文を参照。確認した抄録に数値は示されていない。
オーバーナイトの下方リスクの構成
オーバーナイトの下方リスクは、中程度のボラティリティ・リスク成分と、有意な裾リスク成分から構成されると報告された。。
効果量未掲載(not_reported)
成分ごとの寄与の大きさは原典本文を参照。確認した抄録に数値は示されていない。
ボラティリティのみで測った場合
条件付きバリュー・アット・リスクの計算で示すと、ボラティリティだけに基づくリスク評価はオーバーナイトの下方リスクを大幅に過小評価すると結論している。。
効果量未掲載(not_reported)
過小評価の幅は原典本文のバリュー・アット・リスク計算を参照。確認した抄録に数値は示されていない。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
追試の記録
この結果を追試した研究として、当サイトが台帳に持っているレコードです。
- 米国株で夜間と日中の価格変化を分けて流動性指標を再検討した関連研究であり、本研究の裾リスク検定の追試ではない。 関連研究のレコードを見る
「独立研究」は原典と著者が重ならない研究、「同一著者」は原典の著者を含む研究です。追試の件数は網羅ではありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI、第39巻53-64頁)https://doi.org/10.1016/j.intfin.2015.05.012
- SSRNワーキングペーパー版(2014年)https://www.ssrn.com/abstract=2494387
- Crossref登録メタデータ(著者版の抄録を含む出版社登録レコード)https://api.crossref.org/works/10.2139/ssrn.2494387