レバレッジは諸刃の剣。未熟な投資家の損失を広げ、熟練投資家の成績を高める
Leverage Is a Double-Edged Sword
Avanidhar Subrahmanyam、Ke Tang、Jingyuan Wang、Xuewei Yang(2024)『The Journal of Finance』
ひとことで言うと
レバレッジは全体では成績と負の関係にあるが、未熟な投資家では損失を広げ熟練投資家では成績を高めると報告した研究。
図で読む:この研究は何を比べたか
同じレバレッジでも、スキルで効果の向きが逆になる
未熟な投資家
レバレッジが宝くじ選好と処分効果による損失を増幅する
投資家のスキルによる違い
熟練投資家
レバレッジが流動性供給を刺激しリターンを高める
同じレバレッジでも投資家のスキルで効果の向きが逆転する
利益への距離
- 観測された差
-
一部のみ
レバレッジの効果は投資家のスキルに依存し、未熟な投資家では損失側に働くと報告されている。
- 取引費用
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未確認
取引費用を差し引いた後の評価は抄録に示されていない。
- 再現性
-
未確認
独立標本での追試は本レコードでは評価していない。
- 日本市場
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未確認
標本は先物ブローカーの独自データであり、日本市場は検証されていない。
研究で観測された差は、そのまま得られる利益ではありません。4つの関門はそれぞれ独立に読んでください。
この研究を読み解く
何を知りたかったのか
レバレッジを使うと、投資家の取引成績はどう変わるのでしょうか。取引費用や追証による強制決済がある以上、単純に不利になるとも考えられます。しかし投資家全員が同じ影響を受けるのか、それともスキルによって結果が分かれるのかを、この研究は先物ブローカーの実際の取引データで問います。
どうやって調べたのか
先物ブローカーが保有する日中の約定データという独自データを用い、implied leverage(ポジションから逆算した実効的なレバレッジの水準)と取引成績の関係を回帰分析で調べます。投資家のスキルは標本外の期間の成績で定義し、スキルの高い投資家と低い投資家に分けたうえで、レバレッジが成績に与える影響がどう異なるかを比較します。あわせて、規制による証拠金引き上げが投資家全体の成績とボラティリティに与える影響も分析します。
何が分かったのか
全投資家を通じて見ると、implied leverageは成績と負の関係にあり、取引費用の増加と追証による強制決済がその一因とされました。ところがスキル別に分けると、未熟な投資家ではレバレッジが宝くじ選好や処分効果による損失を増幅する一方、熟練投資家ではレバレッジが流動性供給を刺激し、リターンを高める方向に働いたと報告されています。規制による証拠金引き上げは熟練投資家の成績を下げましたが、投資家全体で見るとリターンを高めボラティリティを抑える効果があったとされています。
この結果をどう読めばよいか
レバレッジが一律に有利あるいは不利だと述べた研究ではなく、投資家のスキルによって効果の向きが逆転しうるという条件付きの結果です。スキルの定義は標本外の成績によるものであり、事後的に見た結果である点に注意が必要です。標本は先物ブローカーの独自データで対象国・地域が抄録に明示されておらず、日本市場での成立や日本の信用取引制度への当てはめは検証されていません。
- 対象市場
- その他
- 標本期間
- 2024
〜2024 - 対象銘柄群
- 先物ブローカーの日中約定データ(独自データ)。確認した抄録に対象国・地域と標本期間の明示はなく、期間は出版年で代用している。
- 観測頻度
- intraday
- 再現性
- 未評価implied leverageと成績の関係、および熟練度による違いについて、独立標本での再現は本レコードでは評価していない。
- 日本市場での有効性
- 未評価標本は先物ブローカーの独自データであり、対象国・地域が抄録に明示されていないため、日本市場での成立は評価していない。
観測結果
全投資家を通じた観測結果
先物ブローカーの日中約定データを用いた分析で、implied leverage(含意レバレッジ)は全投資家を通じて成績と負の関係にあり、取引費用の増加と追証による強制決済の両方が原因の一部である。。
効果量未掲載(not_reported)
負の関係の大きさを表す効果量は抄録に示されておらず、方向のみを収録する。
熟練度による違い
標本外で定義したスキルに基づき投資家を分けると、未熟な投資家ではレバレッジが宝くじ選好と処分効果による損失を増幅する一方、熟練投資家ではレバレッジが流動性供給を刺激しリターンを高めた。規制による証拠金引き上げは熟練投資家の成績を下げるが、全体のリターンを高めボラティリティを抑えた。。
効果量未掲載(not_reported)
熟練投資家と未熟な投資家の成績差、および証拠金規制の効果量は抄録に示されておらず、方向のみを収録する。
効果量は原典の掲載値です。当サイトが再計算したものではなく、将来のリターンを示すものでもありません。
追試の記録
この結果を追試した研究として、当サイトが台帳に持っているレコードです。
- 追証の担保要件が信用取引の期待リターンを負にすることを理論・実証両面で示した関連研究であり、本研究の熟練度別分析の追試ではない。 関連研究のレコードを見る
- 処分効果(利益株を売り急ぎ損失株を持ち続ける傾向)を扱った先行研究であり、本研究における未熟な投資家の損失増幅の説明変数の一つとして参照する関連研究である。 関連研究のレコードを見る
「独立研究」は原典と著者が重ならない研究、「同一著者」は原典の著者を含む研究です。追試の件数は網羅ではありません。
限界
原典の設計上、この結果をそのまま一般化できない条件です。
原典と利用条件
- 出版社ページ(DOI)https://doi.org/10.1111/jofi.13316