固定比率へ戻し続けるリバランスが、各資産を持ち続ける場合より複利成長率を高めると報告した研究はありますか
結論
買い持ちと直接比較した実証は、MaesoとMartelliniの米国株研究1本です。因子調整後、5年保有で年率100ベーシスポイント超の平均上振れを報告しています。他の2本は、構成資産の複利リターンの加重平均との差を扱う理論研究です。取引費用控除後の成績と日本株での成立は未確認です。
BoothとFama(1992)は、実証標本を使わない理論研究で、一定比率ポートフォリオの複利リターンが、構成資産の複利リターンの加重平均を上回り得ると整理しました。この比較の相手は、各資産の成績を加重平均した値です。
Boucheyほか(2012)は、変動性が正で相関が1未満の資産を、流動性のある市場で一定比率へ戻すリバランス(再均衡)の概念研究を行いました。追加分を、予測や銘柄選択による期待超過リターンとは区別し、複数期間にわたる複利成長と位置づけています。
MaesoとMartellini(2020)は、S&P 500構成銘柄で買い持ちと比較しました。因子調整後も、5年の保有期間では年率100ベーシスポイントを超える平均上振れを報告しています。5年は保有期間であり、株価データの標本期間ではありません。
理論上の加重平均との差と、米国株で測った買い持ちとの差を、同じ大きさの利得としてまとめることはできません。
参照した研究
- 複利リターンと構成資産の複利リターンの加重平均との差を整理した研究 台帳のレコードを見る
- 期待超過リターンと区別して、固定比率への組み替えによる複利成長を説明 台帳のレコードを見る
- 米国株で、買い持ちに対する因子調整後の平均上振れを報告 台帳のレコードを見る
限界
日本株や1570と1321の組合せは直接検証されていません。米国株研究の標本期間と実施間隔、取引費用控除後の成績は確認できず、日本の税や信託報酬を含む手取りの比較も不足しています。