レバレッジ型ETFは、長く保有するほど成績が悪化すると学術研究で報告されていますか
結論
結果は条件つきです。保有期間が長いほど非レバレッジ型に対して成績が低下すると報告した 研究がある一方、乖離の向きは市場環境やリターンの性質によって変わるとする研究もあります。
Leung & Santoli (2012) は、S&P500に連動する主要なレバレッジ型ETFの実際のリターンを 分析し、投資ホライズンが長くなるほど非レバレッジETFと比べた成績が全般に低下し、 その目減りは高倍率のETFほど深刻だと報告しています。
Avellaneda & Zhang (2010) は、レバレッジ型ETFの期間リターンを原指数の期間リターンと 実現分散で表す厳密な関係式を導き、乖離の向きが原指数の経路(値動きの大きさとその経過)に 依存すると示しました。
一方、Charupat, Ma & Miu (2022) は、非対称ボラティリティ(上昇時と下落時で値動きの 大きさが異なる性質)を組み込んでシミュレーションすると、ボラティリティが高いことが 常に不利に働くわけではなく、どの市場環境で起きたかに依存すると報告しています。
さらに新しいプレプリントであるHsieh, Chang & Chen (2025) は、成績を決めるのは ボラティリティの高さそのものではなく、リターンの自己相関を含む動学的な性質だとし、 独立なリターンでは複利効果が正に働き、トレンド相場では利得が拡大し、平均回帰的な相場では 成績が劣後すると整理しています。
- 保有期間が長く倍率が高いほど、非レバレッジ商品と比べた成績は全般に低下すると報告されている
- 乖離の向きは一方向ではなく、リターンの自己相関や相場環境によって変わりうるとも報告されている
- リバランスの取引費用を差し引いた後の評価は、これらの研究の抄録では扱われていない
「長く持つと必ず不利になる」という単純な図式は、条件を外した一般化であり、これらの 研究の報告内容を超えています。
参照した研究
- 保有期間が長いほど成績が低下すると報告 台帳のレコードを見る
- 乖離は原指数の経路に依存すると報告 台帳のレコードを見る
- 高ボラティリティが常に不利とは限らないと報告 台帳のレコードを見る
- 成績を決めるのはリターン動学だと報告 台帳のレコードを見る
限界
標本はいずれも米国上場のレバレッジ型ETF・S&P500・Nasdaq-100等であり、日経平均レバレッジ・ インデックス連動の日本の商品を直接の標本とした検証は含まれていない。取引費用や信用取引の 諸費用も検証の対象に含まれていない。