結論

示されていません。評価倍率の研究が扱うのは、米国集計の年次やそれより長い窓の予測回帰です。 日経225先物やレバレッジ型ETFを、日経平均PERの水準で短期売買した成績は、台帳にありません。

PERで「高いから売る」「低いから買う」という読みを、日経225先物やレバレッジ型ETFの 短期売買へ持ち込む問いです。台帳の研究が実際に測定している対象は、そこまで届いていません。

Campbell & Shiller (1988) の対象は、1871年から1986年の米国集計の年次系列です。 報告しているのは長期リターンの予測可能性の含意であり、日次の執行ではありません。 Goyal & Welch (2008) が棄却に近い形で検討しているのも、年次またはそれより短い頻度の 米国株式プレミアム予測です。1975年以降に標本外で歴史平均を上回ったモデルはなかった、 と本文は述べますが、対象は市場全体のプレミアムであり、レバレッジ型商品ではありません。

Campbell & Yogo (2006) は月次系列も使いますが、CRSPの時価加重指数とS&P500の 平滑化利益株価比です。日経225先物の限月、レバレッジ型ETFの日次リセット、 信託報酬や追証は、いずれの標本にも入っていません。

  • 予測回帰の対象は米国集計のプレミアムであり、日経平均PERではない
  • 観測頻度は年次や月次が中心で、日中の短期売買ではない
  • 先物のロール費用やレバレッジ型ETFの経路依存は、検証の対象外である

示されていないのは、短期売買が成立しないと示されたことではありません。 日経平均PERを合図にした先物・レバレッジ型ETFの成績は、検証されていない、 というのが現在の状態です。

参照した研究

限界

日経225先物、日経平均レバレッジ型ETF、信用取引の金利・諸費用は、いずれの研究の標本にも 含まれていない。経路依存や日次リセットといった商品構造も、評価倍率の予測研究では 扱われていない。