結論

測り方で強度は変わると報告されています。平滑化した数年の利益を使う系列は予測を支持しやすく、 単年の配当株価比は頻度によって分かれ、会計上の利益定義を替えると見通し自体が動きます。

PERと一口に言っても、直近1年の実績利益、予想利益、数年を均した利益では、 中身が違います。研究は、この定義の違いを別々の予測変数として扱っています。

Campbell & Shiller (1988) が強調するのは、長期の実質利益平均です。 最適予測では利益側の重みがおよそ3分の2から4分の3だと報告しており、 単年の利益やその時点の株価だけより、均した利益の役割が大きい、という整理です。

Campbell & Yogo (2006) は、過去10年の利益で平滑化した利益株価比と、 配当株価比を分けて検定しています。提案した検定では、平滑化利益株価比は 年次・四半期・月次で予測を支持し、配当株価比は年次では支持、四半期と月次では 帰無を棄却できなかったと報告しています。同じ評価倍率でも、均すかどうかと 観測頻度で判定が分かれます。

Siegel (2016) は、米国株のCAPEに入れる利益を、GAAPから国民経済計算(NIPA)の 税引後企業利益へ入れ替えると、従来の見通しは悲観に寄りすぎている可能性があり、 将来リターン見通しははっきり高まると報告しています。確認した抄録に標本期間と 効果量の数値は示されていません。

  • 数年を均した利益株価比は、複数の頻度で予測を支持したと報告されている
  • 配当株価比は、年次では支持、より短い頻度では棄却できないと報告されている
  • GAAPのCAPEとNIPA利益のCAPEでは、見通しの向きが変わると報告されている

どの定義が「正しいPER」かを決めた研究ではありません。測り方を変えると、 同じCAPEという枠でも見通しが動く、という報告です。

参照した研究

限界

予想PER(アナリスト予想)を日経平均PERの定義どおりに検証した研究は、台帳に収録がない。 Siegel (2016) は抄録到達のみで、期間と効果量は本文まで確認できていない。 いずれも米国株式であり、日本の会計制度や日経平均PERの予想・実績区分は未検証である。