結論

別の問いとして扱われています。個別株の低PERや高簿価時価はクロスセクションの比較であり、 指数全体のPERは一つの市場の時系列です。同じ「割安」という言葉でも、比べているものが違います。

「PERが低いから割安」という言葉は、二つの比較を混ぜることがあります。 一つは、同じ時点で他の銘柄よりPERが低いか。もう一つは、いまの指数PERが 過去の自分より低いか。研究は、この二つを別の設計で扱っています。

Fama & French (1992) は、1963年7月から1990年12月の米国個別株クロスセクションを 対象にしています。サイズの対数と簿価時価比率の対数が、レバレッジと利益株価比率が 担っていた平均リターンの違いも吸収したと報告しています。測っているのは、 銘柄同士の横断比較です。

Chan, Hamao & Lakonishok (1991) は、1971年から1988年の東証個別株で、 益回り・サイズ・簿価時価・キャッシュフロー利回りと期待リターンの関係を調べ、 簿価時価とキャッシュフロー利回りが最も強いと報告しています。これも銘柄の横断です。

一方、Campbell & Shiller (1988) や Goyal & Welch (2008) が扱うのは、 市場全体を一つの系列にした時系列です。個別株の低PERプレミアムが観測されても、 指数PERの水準から翌月の日経平均が読めることにはなりません。

  • 個別株のバリューは、同じ時点の銘柄同士を比べる
  • 指数PERは、一つの市場の過去と今を比べる
  • 両方を同じ「割安」として足し合わせた検証は、台帳の中心にはない

クロスセクションで差が出ることと、指数の時系列で予測できることは、 同じ現象として証明されていません。

参照した研究

限界

個別株バリューと指数PERを同じ標本で同時に識別した研究は、今回の収録にはない。 Fama & French (1992) は米国、Chan et al. (1991) は1971〜1988年の東証であり、 いまの日経平均PERへそのまま接続できない。